2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経可塑性に伴うNMDA受容体複合体の再編成と活性化に関与する機能分子の探索
Project/Area Number |
18022040
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 幹雄 関西医科大学, 医学部, 講師 (40192687)
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Keywords | NMDA受容体 / nNOS / 神経因性疼痛 / 脊髄摘出標本 / PACAP / トランスロケーション / ノシセプチン(N / OFQ) |
Research Abstract |
さまざまなノックアウトマウスに神経因性疼痛モデルを作製し、疼痛行動を解析した結果、神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)の細胞質から細胞膜へのトランスロケーションがhNOSの活性化と神経因性疼痛の維持に必要であることを示した。今年度はこのモデルを確認するために脊髄摘出標本と培養細胞でhNOSの活性化機構について検討し、以下の知見を得た。 1)脊髄摘出標本による大塚(正徳先生)モデルを用いて生化学的なnNOS活性をNADPHジアホラーゼ(NADPH-d)組織染色で評価する系を確立した。このex vivo系はrNOS活性をNO産生ではなく、NADPH-dによる組織染色で評価することから、NOが逆行性メッセンジャーとして作用するかどうか、NO放出剤を用いて検討することが可能である。NO放出剤(NOR3)がグルタミン酸NMDA受容体-NO-cGMP/PKG系を介してNADPH-dの活性化に関与することを示した。 2)我々は以前に第4のオピオイド受容体NOPのアゴニストN/OFQが神経因性疼痛に関与することを報告している。今回、脊髄摘出標本による大塚モデルを用いて、N/OFQがグルタミン酸NMDA受容体を介してNADPH-dの活性化に関与すること、その活性化機構について明らかにした。 3)我々は、PACAP(pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)がnNOSのトランスロケーションと神経因性疼痛に関与することを報告している。そこで、nNOSのN末端(1-299)と蛍光タンパクYFPの融合タンパクを発現する培養細胞を用いてnNOSのトランスロケーションの機構を検討した。 PACAPとNMDAの共刺激によりトランスロケーションが生じることがわかり、現在その活性化に関与するシグナルを検討している。
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