2007 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス可塑性に伴うシナプス後膜内神経伝達物質受容体局在変化の高解像度解析
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18022043
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深澤 有吾 National Institute for Physiological Sciences, 大脳皮質機能研究系, 助教 (60343745)
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Keywords | 解剖学 / 神経科学 / シナプス / 受容体 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
外部からの情報は脳内に形成された神経ネットワークにより処理されると同時に、神経ネットワーク自体も情報入力により変化する。この神経ネットワークの柔軟性が、個体が状況に応じて行動したり、新規環境を学習、記憶する重要な基盤となっている。ネットワークを構成する神経細胞はシナプス結合を介して連絡し、この結合間で神経伝達物質を介した情報伝達(シナプス伝達)を行っているので、シナプス伝達の分子機構を詳細に明らかにすることが神経ネットワークの柔軟性を支えるメカニズムを明らかにする上で重要である。そこで本課題ではシナプス後膜に発現する神経伝達物質受容体局在様式を高感度に定量的に単一シナプスレベルで解析できる実験系を確立し、研究を進めてきた。これまでの研究でシナプス内のAMPA型グルタミン酸受容体はクラスターを形成し、単一シナプス内に受容体密度の高い領域と低い領域が混在することを見出した。また、長期的にシナプス伝達効率が増強する現象(LTP)を誘導すると、シナプス内のより広い領域で受容体密度が高くなることを示す結果を得た。そこで本年度は、高密度受容体発現領域の機能的意義を明らかにする目的で、受容体局在のシナプス伝達強度との関係を解析した。レプリカ免疫標識で捉えたAMPA受容体の定量的な局在情報とグルタミン酸受容体モデルを用いてシナプス応答のシミュレーションを行った結果、受容体クラスター直上の放出と受容体が疎な場所からの放出とで約1.3倍の応答差になった。また、クラスターしていない状況を想定しシミュレーション結果を比較したところ、受容体のクラスター化は応答強度に影響しないことが分かった。これらの結果から、シナプス内の受容体局在の変化は、シナプス応答強度の受容体数依存性を阻害しないことを始めて示した。
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Research Products
(3 results)