2006 Fiscal Year Annual Research Report
誘導型コンディショナルKOを用いたCdk5の脳機能における役割の解明
Project/Area Number |
18022050
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大島 登志男 独立行政法人理化学研究所, 発生神経生物研究チーム, 副チームリーダー (20311334)
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Keywords | コンディショナルKO / マウス / Cre recombinase / tamoxifen / Cdk5 / CaMKII / LTP / LTD |
Research Abstract |
Cyclin-dependent kinase 5(Cdk5)は、他のCdkが分裂中の細胞に活性が高いのに対して、activating subunit p35,p39が神経細胞に特異的に発現しているため、神経細胞に活性を認めるユニークなCdkである。Cdk5の欠損マウスでは大脳、小脳、海馬において層構築が欠如しており(Ohshima et al.,1996)、大脳皮質神経細胞などの移動にCdk5キナーゼが必須な因子である事を明らかにした。また、我々は、p35の欠損マウスを用いて、行動解析、海馬の電気生理学的解析を行ない、1)モリス水迷路課題での学習が野生型に比較し、障害されており、空間記憶も障害されていた。2)海馬の電気生理ではCA1のLTP,LTDを検討し、LTPが弱い刺激でも起りやすい事と、LTDの誘導が起らないことが判明した。以上から、空間学習・記憶にCdk5が必須であり、LTP,LTDの誘導に何らかの関与がある可能性が示唆された(Ohshima et al.,2005)。これまでに、脳形成の比較的早い時期に、前脳皮質と中・後脳それぞれにCreを発現するEmx1Creマウス及び,Wnt1Creマウスを用いて、生後脳の発達へのCdk5欠損の影響を検討している。 本研究課題では、tamoxifen(TM)の投与によりCreが核内に移行し、loxP間で組換えが起きる誘導型コンディショナルKOのラインを確立したので、このラインを用いて、現在TMの投与量と投与期間などについての条件検討を行なっている。また、Cdk5KOやp35KOの解析データを検討する事で、何がこのモデルを用いて検討できるかが明確になるので、これらの変異マウスの検討も同時に行ない、Cdk5活性低下により、LTPの誘導に関連しているCaMKIIの活性化が増強される結果を得たので、報告した(Hosokawaら2006)。
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