2007 Fiscal Year Annual Research Report
PSD-95パルミトイル化酵素によるAMPA受容体動態制御機構の解明
Project/Area Number |
18022054
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深田 正紀 National Institute for Physiological Sciences, 細胞器官研究系, 教授 (00335027)
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Keywords | 脂質修飾 / パルミトイル化 / 酵素 / シナプス / グルタミン酸受容体 / AMPA受容体 / 神経科学 / 生化学 |
Research Abstract |
シナプス伝達効率は神経活動依存性に柔軟に変化することから、記憶や学習の分子基盤を成すと考えられている。中でもグルタミン酸受容体の一つであるAMPA受容体は神経活動依存性にダイナミックにシナプスに輸送され、シナプス可塑性の中心的な役割を果たす。最近、私どもは足場蛋白質PSD-95の局在を制御するパルミトイル化脂質修飾酵素(P-PAT)を同定し、P-PATがPSD-95のパルミトイル化を介してAMPA受容体のシナプス膜での発現量を調節することを明らかにした。本研究では神経活動によるP-PATの活性制御機構の解明を通じて、AMPA受容体の動態制御機構を明らかにする。本年度の研究実績は以下のとおりである。 P-PATはDHHC2,3,7,15という4種類の分子種から構成されているが、これら4種類のパルミトイル化酵素のどの分子種がグルタミン酸受容体の下流で調節されているかは不明であった。今年度、私どもはグルタミン酸受容体の下流で制御されうる酵素はDHHC2およびDHHC15のサブファミリーであることを見出した。また、興味深いことにDHHC3は細胞体のゴルジ装置に特異的に局在し、一方DHHC2は樹状突起内のシナプス近傍にも存在していることを見出した。さらに、私どもはP-PATがPSD-95のパルミトイル化を介してAMPA受容体の恒常性維持に関わっていることを見出した(グルタミン酸受容体の抑制→P-PATの活性化→PSD-95のパルミトイル化レベルの上昇→AMPA型グルタミン酸受容体のシナプスへの集積→神経活動の維持)(則竹ら投稿準備中)。この知見はシナプス活動がある一定範囲内で安定に維持されるという現象(例えばsynaptic scaling)を理解する上でも重要であると考えられる。このように今年度の研究計画は達成できたと考えている。
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Research Products
(17 results)