2006 Fiscal Year Annual Research Report
異常蛋白質蓄積によるASK1シグナルを介した神経変性細胞死の分子病態の解明
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18023013
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西頭 英起 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科・COE拠点形成特任教授 (00332627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名黒 功 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (80401222)
野口 拓也 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (20431893)
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Keywords | ALS / ASK1 / 小胞体ストレス / 神経細胞死 |
Research Abstract |
構造異常タンパク質の蓄積は多くの疾患発症原因の一つであり、このような疾患はコンフォメーショナル病と総称され注目されている。本研究では、細胞内異常タンパク質が細胞死を誘導する分子メカニズムを、疾患モデル実験系を用いて解明することを試みた。細胞内異常タンパク質の蓄積がタンパク質分解経路の抑制、ならびに小胞体ストレスを誘導することを以前の研究により明らかにしていることから、異常タンパク質蓄積の一例として、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因の一つである変異型SOD1タンパク質を用いてユビキチンプロテアソームと小胞体ストレスに対する影響を検討し、さらに変異型SOD1結合タンパク質のスクリーニングにより、その分子標的・メカニズムを解明した。すなわち、変異型SOD1を運動神経細胞に発現させることにより、小胞体ストレスが惹起されることを明らかにした。この変異型SOD1誘導性の小胞体ストレスは、小胞体から異常タンパク質が細胞質側へと排出される機構、すなわち小胞体関連分解(ER associated degradation : ERAD)の抑制が原因であった。そこで、変異型SOD1がERADを抑制する際の標的分子をスクリーニングするため、ERAD関連タンパク質との結合を検討したところ、小胞体膜タンパク質でERADに必須の分子として最近報告されたDerlin-1と変異型SOD1が特異的に結合し、その機能を阻害していることが示された。さらに、変異型SOD1とDerlin-1の結合を阻害するペプチドを見いだし、そのペプチド発現により変異型SOD1誘導性の小胞体ストレス誘導、ASK1(小胞体ストレス誘導性アポトーシスに必要な分子)経路の活性化、神経細胞死が抑制されることも明らかとなった。また個体レベルの結果として、ASK1ノックアウトマウスではALSの病態進行が有意に遅延されたことから、変異型SOD1によるDerlin-1機能阻害がALSの病態進行に大きく関与していることが示唆された。
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