2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病態における核ストレスの解析と治療応用
Project/Area Number |
18023014
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡澤 均 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50261996)
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Keywords | ポリグルタミン / 転写 / DNA修復 / ジェノトキシックストレス / プロテオミクス / プロテオーム / 神経変性 |
Research Abstract |
ポリグルタミン病は神経細胞の核内部に異常タンパク蓄積による封入体形成がおきる。この過程で、どのような機能異常が核の内部で起きるかは明らかではない。私たちはポリグルタミン蛋白が核に引き起こす異常の一つとして、核ストレスシグナル(genotoxic stress signa1)があると考えている。その理由は、ポリグルタミン病態としてほぼコンセンサスを得ている転写障害を神経細胞に誘発させると、核ストレスの下流分子p73の活性化が観察されるからである(Hoshino et al.,JCB 2006)。同様にハンチントン病態でp53の活性化が報告されている。そこで、私たちは核ストレスシグナルカスケードにおいて、より上流の分子の活性化について検討を行った。その結果、複数の核ストレス分子がDNA損傷と類似した活性化を示すことが明らかになった。さらに、並行して行った核プロテオミクス解析から、DNA損傷修復分子であるHMGB蛋白の異常、すなわち脆弱な神経細胞ではポリグルタミン病の種類を問わず共通してHMGB蛋白量が減少すること、を確認した。このことは、ポリグルタミン蛋白に寄り、あるいは自然界の放射線粒子により引き起こされたDNA損傷が修復できない可能性があることを示唆している。以上のごとく、ポリグルタミン病の新規病態として核ストレスの存在が示された。 現在はさらに核ストレスシグナルの最上流のイベントを解析すると共に、核ストレスシグナルをどこでブロックすると細胞の機能障害あるいは細胞死を防ぐことができるかを検討中である。
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Research Products
(4 results)