2006 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症10型の神経変性とインスタビリティ-機構
Project/Area Number |
18023016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 徹 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (90402560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 元 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80236017)
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Keywords | 脊髄小脳変性症10型(SCA10) / ATTCTリピート / ATXN10遺伝子 / Sca10 KOマウス / RNA gain-of-function |
Research Abstract |
A.研究目的: 優性遺伝性SCA10の遺伝子変異はATXN10イントロン9のATTCTリピート不安定伸長(800〜4500)であるが、その病態は不明である。本年度は、その伸長変異がいかなる機序でSCA10を発症させるのか、検討する。 B.研究方法: (1)SCA10とATXN10の関係を調べるため、Sca10 KOマウスを作製した。 (2)ATTCT伸長変異の周辺遺伝子発現への影響を、SCA10細胞を用いてreal-time RT-PCRで調べた。 (3)ATXN10転写産物を定量し、更に異常スプライシングを検討した。 C.研究結果: (1)Sca10-null miceは胎生致死だが、ヘテロは生存し、ATXN10ハプロ不全説を検証する良いモデルと考えた。生後18か月まで観察したが、野生型(WT)と比べ外観・行動に差を認めなかった。8か月齢のRotaRodテスト、神経組織所見もWTと比べて差がなかった。 (2)ATTCT repeatの200kb上流・286kb下流に存在するFBLN1・PPARAのRNA発現を、SCA10リンパ芽球、fibroblast、myoblast、somatic cell hybrid linesを用い対照と比較したが、両者間に差を認めなかった。 (3)上記細胞でATXN10転写物を定量したが、対照と比べ差はなかった。ATXN10異常スプライシング転写物も認めなかった。SCA10-disease alleleでは、転写がATTCT伸長変異を超え進行する事、RNAプロセシングも正常であることが明らかになった。 D.考察: SCA10の病態において、ATXN10や周辺遺伝子のloss-of-functionの寄与は否定的である。ATTCT伸長変異はAUUCUを含むpre-mRNAに転写されることから、筋強直性ジストロフィー類似のRNA gain-of-functionを考えるのが、妥当と思われる。
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