2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内ノルアドレナリン神経機能の非侵襲的分子イメージングのための分子プローブの開発
Project/Area Number |
18023023
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清野 泰 University of Fukui, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (50305603)
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Keywords | 機能性精神疾患 / 分子イメージング / プローブ開発 / ノルアドレナリン神経 / ノルエピネフリン・トランスポータ |
Research Abstract |
機能性精神疾患の病因の1つがノルアドレナリン(NA)神経機能の変化であるとする報告は数多くある。しかし、他の脳神経疾患と比較して、機能性精神疾患の病態解明が遅れている理由の1つに、その病態解明には必須であると考えられる患者のNA神経機能を非侵襲的にイメージングできないことが挙げられる。そこで、機能性精神疾患領域で強く望まれてきたNA神経の分子イメージングを核医学的なアプローチにより達成することを目的とする分子イメージングプローブを開発し、その有効性を評価することを計画した。分子イメージングプローブのターゲットとしては、NA神経のプレシナプスに存在するノルエピネフリン・トランスポータ(NET)を選択し、NETをターゲットとする分子イメージシグプローブとして放射性ヨウ素-123標識(S,S)-IPBMを開発し、正常ラットおよびうつ病モデルラットを用いてプローブの評価を行い良好な結果を得てきた。本年度はADHDモデルラットを用いて、本プローブの有効性を同様に評価したところ、視床前核において集積が低下する傾向が認められた。一方、うつ病モデルラットで観察された青斑核での集積低下は認められなかった。さらに、本プローブをヒトに投与するために、ラット体内分布実験の結果より内部被曝線量の算出を行った。その結果、内部被曝線量は6.6x10^<-2>mSv/MBqと算出され、この値は最も良く用いられているPETプローブであるFDGとほぼ同等の値であった。また、本プローブを投与したマウス、ラット、コモン・マーモセットでは急性毒性が発現しなかった。このことより、本プローブをヒトへ投与する安全性が部分的に確認された。今後、本プローブの慢性毒性、変異原性などを確認する必要はあるが、トレーサー量という非常に微量を体内に投与するために、治療に用いられる薬物と比べると、ヒトへ投与できる可能性は非常に高いと考えられる。
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