2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスによるうつ病発症・難治化の機序解明
Project/Area Number |
18023027
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
森信 繁 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (30191042)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 和明 独立行政法人国立病院機構呉医療センター, 臨床研究部, 室長 (30332373)
|
Keywords | メチル化 / BDNF / GDNF / MeCP2 / 白血球 / 難治性うつ病 / 電気けいれん治療 / うつ病モデル |
Research Abstract |
研究課題1)BDNF, GDNF遺伝子プロモーター領域のメチル化の解析 BDNFやGDNFの発現低下が、遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化異常に伴う転写抑制に起因するか否かを明らかにするためにBDNFおよびGDNFのプロモーター領域においてメチル化状態に特異的なプライマーを作成した。乳癌細胞株8株および乳癌症例13例を対象として、DNA500ngをsodium bisulfiteにより処理した後、メチル化特異的PCR法によりメチル化状態を解析した。BDNFでは乳癌細胞株の75%(6/8)および乳癌症例の69%(9/13)に、同様にGDNFでは乳癌細胞株の38%(6/8)および乳癌症例の31%(4/13)に遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化異常の存在を明らかとなった。 研究課題2)ヒト末梢血白血球由来MeCP2 mRNA発現の解析 末梢血にNycoprep(Axis-Shield)混和遠心後に白血球層をとり、RiboPure-WBC(Ambion)にてtotal RNAを抽出後にQuantiscript Reverse Transcription (Qiagen)を用いてcDNAに逆転写した。MeCP2遺伝子に適切なprimer, TaqMan probeを設計後、real-time PCR法にてmRNA発現を計測した。この方法によって初めて、ヒト白血球由来のMeCP2 mRNA発現の計測が可能となった。Real-time PCR法のamplification curveによるとPCR cycle25回の時点から増幅反応がみられ、白血球中にも神経細胞のみならず発現の増減を検討しうるだけの発現量のあることがわかった。 研究課題3)ラット海馬および末梢血白血球由来のBDNF mRNA発現の関連の検討 ラット海馬・末梢血白血球由来のBDNF mRNA発現の関連を検討する目的で、急性拘束ストレス負荷ラットでBDNF mRNAを計測した。その結果、未処置群と比較して海馬では30-40%の減少をみたが、白血球由来では30%程度の減少であった。 現在、難治性うつ病患者および健常者由来の血液について解析を行っている。
|