2006 Fiscal Year Annual Research Report
Cdk5の異常活性化機構の解明と抑制法開発及びアルツハイマー病細胞死への応用
Project/Area Number |
18023030
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 真市 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (20181092)
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Keywords | 神経科学 / 痴呆 / 脳神経疾患 / 老化 / 酸素 / タウ / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
アルツハイマー型老人性認知症では、過剰な神経細胞死が見られるが、神経細胞死の分子機構については判っていない。神経細胞死は認知症発症により近い時期で起こり、その防止は疾患進行を完全には停止できないかもしれないが、遅延は期待できる。申請者らはCdk5と神経細胞死についての研究を行ってきており、いくつかの興味ある知見をすでに得ている。それらはCdk5の異常活1生化の危険性は加齢により高まること、Cdk5はコレステロールによって活性化されること、小胞体ストレスでp25が生成し、核へ移行して細胞死を促進させることなどである。本研究では、Cdk5が細胞死を誘導するまでの4つの過程、(1)カルパインによる限定分解、(2)Cdk5/p25の核移行、そして、(3)細胞死誘導因子のリン酸化、の解析とその抑制法を検討した。(1)カルパインによるp35の限定分解を抑制する方法の開発:p35のカルパインによる限定分解が起こる細胞内領域について検討した。P35のミリストイル化されないG2A変異体を用いて細胞内分解を調べたところ限定分解は細胞膜近傍で起こっていることが明らかとなった。(2)Cdk5/p25の核移行の解析と抑制方法の検討:p25/Cdk5は核に移行して、細胞死を実行する。核移行の仕組みを明らかにするため、ウィルスベクターを用いて神経細胞にp25を発現させたところ、細胞質におもに存在していた。核移行には、p25への限定分解に加えて他の刺激も必要であることが推測される。(3)FTDP-17型変異タウの高リン酸化誘導機構についての解析:FTDP-17型変異タウの脱リン酸化について調べた。P301Lは脱リン酸化され難く、R406Wは容易に脱リン酸化された。微小管との結合状態によっても脱リン酸化が著しく抑制された。(4)Cdk5活性阻害試薬の開発: p35のCdk5結合領域配列からp25の結合を阻害する推測されるペプチドを作成し、結合阻害を検討した。P35ペプチドは阻害活性が見られなかったのに対して、p39の相当する領域での阻害活性が観察された。
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