2007 Fiscal Year Annual Research Report
Cdk5の異常活性化機構の解明と抑制法開発及びアルツハイマー病細胞死への応用
Project/Area Number |
18023030
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
久永 眞市 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (20181092)
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Keywords | 神経科学 / 認知症 / 脳神経疾患 / 老化 / 酵素 / タウ / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
脳特異的キナーゼCdk5の異常活性化がアルツハイマー病神経細胞死の原因と報告されている。Cdk5はタウキナーゼとしてアルツハイマー病への関与が示唆されてきたが,Cdk5の活性化サブユニットp35のカルパインによる限定分解がCdk5の異常活性化を介して,細胞死を引き起こすことも示されている。神経細胞死の防止には,細胞死の実行過程を明らかにする必要がある。本研究の目的は,タウキナーゼとしてのCdk5に加え,Cdk5が誘導する細胞死の実体を明らかにし,細胞死抑制方法を検討し,アルツハイマー病進行の遅延法開発につなげることである。Cdk5が細胞死を誘導するまでの3つの過程,(1)カルパインによるp35の限定分解,(2)Cdk5/p25の核移行,そして,(3)タウの脱リン酸化について解析を行った。(1)p35の限定分解についてはp35が膜に結合している時に起こりやすく,脳内におけるカルパイン阻害タンパク質であるカルパスタチンの量によっても影響を受けることが,カルパスタチン遺伝子改変マウスを用いて実験から明らかとなった。(2)p25/Cdk5をウィルスベクターに組み込み,神経細胞に発現させたところ,p25が核移行するには,単なる発現に加えて,神経細胞にストレスを与えることが必要であると示された。(3)野生型タウの脱リン酸化はベプチジルイソメラーゼであるPin1によって促進される。しかし,FTDP-17型変異タウはPin1によって影響を受けなかった。Pin1の活性低下が疾患脳におけるタウの高リン酸化の原因の一つとする結果を支持していた。
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