2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18023034
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
三谷 昌平 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 教授 (90192757)
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Keywords | アルツハイマー病 / タウオパチー / 線虫 / 遺伝子カスケード |
Research Abstract |
高齢化仕会にあって、脳の老化に伴って起こる認知症や運動障害は神経科学の分野の中で解決すべき最も重要な課題である。代表的なアルツハイマー病やパーキンソン病では、神経変性が発症経過の中で重要な役割を果たしていると考えられる。このような病態を惹起する原因遺伝子群が同定されつつある。本研究の目的は、疾患を再構成するような表現型を呈するタウ・トランスジェニック線虫を用いて疾患発症の遺伝子カスケードの構成分子を見いだし、遺伝解析、生化学的解析によって、その作用機序へのアプローチの手がかりを得ることである。 線虫でほぼ全てのニューロンで発現をしているunc-119遺伝子のプロモーターにヒト・タウなどを繋いだプラスミドコンストラクトを作成し、これを線虫の生殖腺にマイクロインジェクションして、トランスジェニック株を作成した。線虫は、変異型タウ(R406W)などのトランスジェニック株で、軽いUnc(運動異常)表現型を呈した。これらの受精後1日(L1〜L2幼虫)個体を集めて、RNAを抽出した。さらに、ポリA(+)RNAの精製を行い、これを蛍光標識して、genechipによる解析を行った。野生型とトランスジェニック間・あるいは、表現型の程度の異なるトランスジェニック間での遺伝子発現のパターンの変化を検討した。 運動異常のある線虫トランスジェニック株で、再現性良く発現が1.41倍以上に上昇している遺伝子数は51個、0.71倍以下に減少している遺伝子数は、102個見つかった。これらの遺伝子は、野生型タウと非トランスジェニックとの比、R406W型タウ・トランスジェニックと野生型タウ・トランスジェニックの比率で共通するものである。全般的に、この比において、発現上昇と発現低下が逆の傾向を示す遺伝子は見つからなかった。よって、この遺伝子発現の変化は、タウの神経毒性と相関があるものと考えられる。
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Research Products
(5 results)