2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム工学を用いて作製した自閉症マウスの解析による精神機能の分子的基盤研究
Project/Area Number |
18023036
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
内匠 透 Osaka Bioscience Institute, 神経科学部門, 研究室長 (00222092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 敦子 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経科学部門, 研究員 (70390812)
中谷 仁 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 神経科学部門, 研究員 (00342717)
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Keywords | 遺伝学 / 行動学 / 神経科学 / マイクロアレイ / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ヒト染色体15q11-13の重複は自閉症の細胞遺伝学的な異常としてもっともよく知られたものであるが、我々はCre-loxP系を基盤とした染色体工学的手法を用いて、マウス7番染色体相同領域(6.3Mb)の重複マウスの作製に成功した。本領域は、インプリンティング領域としても知られており、父性重複及び母性重複マウスと野生型マウスの比較検討を行った。 本マウス脳においては、重複された領域に存在する遺伝子群がインプリンティング依存的に量的増大を示した。 行動学的及び薬理学的解析の結果、父性重複マウスでは、ヒト自閉症様行動(社会性相互作用の低下、常同様行動、超音波啼鳴の発達遅延、不安傾向等)を示した。本モデルマウスは、ヒトと同様の表現型を示すだけでなく、ヒトと同様の構成的異常を備えたモデルである。 母性重複マウスではなく父性重複マウスが行動異常を示す原因の一つとして、snoRNA(MBI152)がセロトニン5-HT2c受容体のRNA editingを変化させることによりセロトニンシグナルに変化をきたす可能性を明らかにした。 さらに、マイクロダイアリスによる解析を行った。すなわち、セロトニン5-HT2c受容体アゴニストを側座核(Nucleus accumbens)に作用させるとドーパミンの放出が抑制されるが、父性重複マウスでは、このドーパミンの抑制がみられなかった。以上の事から、本父性重複マウスにおいては、セロトニン及びドーパミンシグナルの異常が見いだされた。
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