2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患の病態形成におけるオートファジーの役割
Project/Area Number |
18023043
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水島 昇 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10353434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 太一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (00392374)
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Keywords | オートファジー / ユビキチン / タンパク質品質管理 / タンパク質凝集体 / 封入体 / 神経変性疾患 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
オートファジーはリソソームを分解の場とする非特異的なバルク分解システムである。オートファゴソーム形成に必須なAtg5を全身で欠損するマウスは出生直後に深刻な栄養不良に陥り致死となるが(Kuma et al.2004 Nature)、このマウスは出生時にすでに肝や一部の神経細胞内にユビキチン陽性封入体が蓄積していることが判明した。これは胎生期のオートファジーによって、細胞内の異常タンパク質の蓄積・凝集が抑制されていたことを示すものであった。そこでより進んだステージの解析の目的に、神経特異的Atg5ノックアウトマウスを作製した。これにはAtg5floxマウスと、Nestinプロモータ制御による神経特異的Cre発現マウスを用いた。このマウスは生直後の栄養飢餓には問題なく耐えることができるが、生後4週目より進行性の運動障害(失調性歩行やfoot clasping reflexなど)を呈するようになった。病理組織学的解析では神経系広範囲にわたる神経細胞内封入体形成、軸索腫大、および大脳皮質錐体細胞や小脳プルキンエ細胞の脱落を認めた。これらの結果は、疾患に関連した変異タンパク質を発現していない状態でも、神経細胞内凝集体形成や神経変性に対してオートファジーが保護的作用をしていることを決定づけるものであった。現在疾患モデルマウスとの交配を進める一方で、オートファジーの活性が部分的に低下するマウスの作製などを試みている。
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