2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18026001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 宏 北海道大学, 低温科学研究所, 博士研究員 (10400011)
|
Keywords | 星間 / 星間ダスト / 星間ガス / 星間物質 / 星間雲 / 元素存在度 / 組成 / サイズ |
Research Abstract |
本研究では、星間塵をサブミクロン粒子からなる凝集体とモデル化することによって、科学研究費の交付期間内に、星間塵の組成を明らかにしその場測定および全ての周波数領域での観測結果と矛盾のない光散乱特性を明らかにすることを目的としている。平成18年度の研究では、宇宙元素存在度およびガス相元素存在度より星間塵の組成を決定することを目標とした。近年、星間雲中のガス相元素存在度が多岐に渡り高精度で測定されてきた。これらの観測結果をコンパイルおよび統計処理し、最近改訂された太陽光球の元素存在度を宇宙元素存在度として固相元素存在度、つまり、星間塵の組成を快定することを試みた。これまでの応募者の研究において、Local Interstellar Cloud(LIC)と呼ばれる局所星間雲について星間塵組成を決定し、局所星間雲の形成・進化を議論している。しかし、これまでの研究では、まだデータの質・量ともに乏しかったので、まずLICでの塵の組成を更新することからはじめた。その結果、以前に得られたLICでの塵の組成は、十分に正しいものであるという確証が得られた。次に、G-Cloudと呼ばれるLICに近接する星間雲での塵組成を決定しようと試みが、G-Cloudのデータ数は乏しく信頼できる塵組成を決定するには至らなかった。しかし、Blue-Cloud(BC)と呼ばれるLICに近接する星間雲の塵組成を決定することに成功した。得られた結果の比較によって、星間雲ごとの塵組成の違いは見られなかった。これによって、局所星間雲での塵組成が、星間雲の典型的な塵組成を反映していると結論づけられる。また、LICとBCでのガスの電離度に宅差異は無いと考えられる。平成19年度に星間塵の光散乱特性を調べる準備として、星間塵凝集体モデルを彗星塵のモデルとしてその有効性をテストした。星間塵凝集体モデルは、可視から中間赤外線まで彗星塵観測結果を全て再現し、このモデルの有効性が示された。
|