2006 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁体希釈による充填スクッテルダイト化合物の単サイト電子相関に関する研究
Project/Area Number |
18027001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
網塚 浩 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (40212576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 健一 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (70261279)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 単サイト電子相関 / 高次多極子 / 結晶場効果 / 混成効果 / 電機四極子秩序 / 磁気八極子秩序 / 隠れた秩序 |
Research Abstract |
本研究では、高次多極子による量子異常が特に顕著なPrT_4P_<12>及びSmT_4P_<12>(T=Fe,Ru,Os)に注目し、絶縁体CeT4_P_<12>を用いた磁性希釈により、これらの系の基本的単サイト電子相関を解明する。また密接な関連の指摘される系の研究から、高次多極子に関する物理の進展を図ることを目的とする。本年度の成果を以下に示す。1.試料合成:Ce_<1-x>Pr_xT_4P_<12>(T=Fe,Ru)(0【less than or equal】x【less than or equal】0.15)を合成し、EPMA等を用いて同定した。母物質については、過去報告より磁性不純物量が1桁少ない試料の合成に成功した。更にCe_<1-x>Pr_xT_4P_<12>(T=Os)及びCe_<1-x>Sm_xT_4P_<12>(T=Fe,Ru)の作成を試み、合成に有用な温度・反応条件の基礎データを収集した。2.物性評価:Ce_<1-x>Pr_xT_4P_<12>(T=Fe,Ru)について磁化、磁場中比熱を詳細に測定した。強磁場からの外挿による解析法を考案し、4f結晶場準位が両系共に1重項-3重項(〜10K)であることを明らかにした。この結果は、周期系に適用された有効結晶場理論の正当性を支持するものである。更に励起準位の微細分裂を見出し、縮退を解く何らかの単サイト効果の存在を問題提起した。以上の成果について、今年度開催の本特定領域研究会、日本物理学会、並びに第17回磁性に関する国際会議ICM2006において公表した。3.類似のかご構造物質Pr_3Pd_<20>Ge_6について高分解能非弾性中性子散乱を実施し、Pr独立2サイトの結晶場準位を特定した。4.多極子秩序が提唱されているURu_2Si_2について、静水圧下中性子散乱及び交流磁化率測定を同一試料・圧力環境下で行い、超伝導が隠れた秩序下でのみ生じ、反強磁性とは共存しないことを明らかにした。この成果はICM2006において招待講演として公表した。
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Research Products
(13 results)