2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18027003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 滋 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20154750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 明 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90183772)
鈴木 博之 物質・材料研究機構, 量子ビーム研究センター, 主任研究員 (60354370)
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Keywords | NMR / NQR / f電子系 / 多重極 |
Research Abstract |
スクッテルダイト化合物は、f電子系の多重極および近藤効果に由来し様々な異常な物性を示す。本研究は、遷移金属核NMR/NQRによりこれら物性を解明するとともに、密接に関連するf電子系で多重極による異常な物性を明らかにすることを目的とする。 (1)スクッテルダイト化合物の遷移金属核NMR/NQRに関し、PrOs_4Sb_<12>のOs核NMR/NQR、SmRu_4P_<12>のRu核NQRによる研究を行った。重畳するSb核NMR/NQRによりPrOs_4Sb_<12>については観測困難なことがわかった。SmRu_4P_<12>については信号の観測に成功した。 (2)関連Pr,Sm,Tm系化合物の、f電子系の多重極、および多重極が絡む近藤効果に由来すると考えられる物性に関し、以下の成果を得た。 (1)PrMg_3は、非磁性、非クラーマース2重項Γ_3を結晶場基底状態とする。単結晶を育成し、PrMg_3が低温まで秩序を示さないこと、1K近傍にΓ_3自由度による巨大な比熱異常を示すこと、この異常は通常の1チャネル近藤効果の理論で再現されることを明らかにした。 (2)PrAg_2In、PrMg_3はともに非磁性、非クラーマース2重項Γ_3を結晶場基底状態とし、低温まで秩序を示さない。複数(複数サイト)のアニオン核NMRを相補的に用い、これらの物質の低エネルギー揺らぎを核磁気緩和時間T_1により研究した。更にアニオン核とPrΓ_3の多重極との結合を対称性にもとついて考察し、T_1の低温異常がΓ_3の8重極揺らぎによることを示した。物質に依らず測定手段に依らず、8重極揺らぎの最初の観測例である。 (3)SmAg_2Inの単結晶を育成し、SmAg_2InがΓ_84重項を結晶場基底状態とし、低温で多重相転移を示すことを明らかにした。Γ_84重項基底より多重極が絡む秩序が期待されるが、NMRおよび極低温比熱から秩序相の主要な秩序変数が磁気双極子であることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)