2006 Fiscal Year Annual Research Report
スクッテルダイト超伝導体における新奇超伝導状態についての核磁気共鳴による研究
Project/Area Number |
18027009
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤 秀樹 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 助教授 (60295467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
世良 正文 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (40196978)
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Keywords | 超伝導 / 核磁気共鳴 / スクッテルダイト / 重い電子 / 多極子秩序 / スピン3重項超伝導 |
Research Abstract |
充填スクッテルダイト超伝導体PrOs_4Sb_<12>は、Pr系で初めての重い電子超伝導体であり、比熱・中性子回折・熱伝導度・ミュウ中間子スピン共鳴実験、核四重極共鳴実験など様々な研究から、多バンド超伝導やスピン三重項超伝導などの可能性が示唆され、その超伝導発現機構に興味が持たれている。しかしながら、測定手段によって異なった超伝導特性が報告されるなど、混沌としている状況である。 本研究では、NMR測定により、PrOs_4Sb_<12>の常伝導および超伝導特性を明らかにすることを目的としている。これまでに我々のグループで決定してきたSbサイトのNQRパラメータをもちい、単結晶試料の精密NMR測定をおこなった。これによりSb核のナイトシフトを決定し,超微細磁場に関する情報を得た。さらに、これらの条件を用いて、核磁気緩和率の磁場依存性の測定をおこなった。 磁化率、Sb-NMRシフトの解析から、Sb-NMRシフトに於いて、Pr 4f電子による双極子磁場の効果以外に、Pr核の増強核磁性による磁場も重要であることが明らかとなった。これは、Prの4f電子状態が、結晶場1重項基底をとるヴァンブレックメタルと呼ばれる状態にあるからである。また、核磁気緩和率が、磁場により強く抑制されることを明らかにした。この物質は、一重項基底状態の僅か8K高いところに3重に縮退した結晶場第一励起状態があることが分かっているが、磁場によりこの縮退が解けるためであると考えられる。この結果は、PrOs_4Sb_<12>の重い電子状態が従来の近藤効果による重い電子形成機構とは異なることを示唆する。この重い電子超伝導は、従来のフォノン機構や磁気的な引力以外の機構によると予想され、さらなる実験を行っているところである。
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Research Products
(4 results)