2006 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイトにおけるラットリングの中性子散乱による研究
Project/Area Number |
18027013
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
金子 耕士 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (30370381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目時 直人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40343909)
木村 宏之 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50312658)
野田 幸男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80127274)
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Keywords | スクッテルダイト / ラットリング / 中性子散乱 / MEM解析 / 放射線・X線・粒子線 / 低温物性 |
Research Abstract |
Pr系初の重い電子系超伝導体PrOs_4Sb_<12>の物性において重要性が指摘されている、特異な熱振動"ラットリング"の詳細を明らかにする目的で、単結晶中性子回折実験及びMEM法による構造解析を行った。解析の結果、Prの核密度分布の詳細を明らかにすることに成功し、室温において、Prの分布がSbからなるカゴの空隙に対応する<111>方向に異方的に拡がっていることを明らかにした。その拡がりは半値全幅で0.6Åと非常に大きく、加えてその分布は空間的に平坦に拡がっており、単純な調和振動子モデルから大きく外れていること、すなわち強い非調和性を持つことを明らかにした。一方低温の8Kでは、半値全幅で0.14ÅとOs,Sbと比較して倍近く拡がっているが、室温と比べて鋭く、ガウス型の分布をもつ事を見出した。その分布については、分解能の範囲で異方性はなく、最大密度がカゴの中心にあることを明らかにした。ラットリングを特徴づける実験結果の一つとして、超音波分散の存在からオフセンター振動の可能性が示唆されている。今回の結果は、少なくともその振幅が0.1Å以下であることを示している。また、低温でのフォノンの顕著なソフト化から、非調和項の重要性が指摘されているが、今回の室温のPrの分布から。強い非調和ポテンシャルの存在を直接的に明らかにした。 ラットリングに加え、PrOs_4Sb_<12>における主たる相互作用を明らかにする目的で、磁場中中性子回折により磁場誘起相の秩序構造を調べた。磁場誘起秩序相における磁気モーメントの向きの印加磁場方向依存性を調べ、H||[001]では磁場に垂直な反強磁性モーメントが、H||[110]では磁場に平行であることを明らかにした。この結果から、PrOs_4Sb_<12>における主たる相互作用が、磁気的な双極子や八極子相互作用ではなく、非磁性の四極子相互作用であることを見出した。
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Research Products
(6 results)