2007 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイトにおけるラットリングの中性子散乱による研究
Project/Area Number |
18027013
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
金子 耕士 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究員 (30370381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目時 直人 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40343909)
木村 宏之 東北大学, 多元物質科学研究所, 凖教授 (50312658)
野田 幸男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80127274)
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Keywords | スクッテルダイト / ラットリング / 中性子散乱 / MEM解析 / 放射線・X線・粒子線 / 低温物性 |
Research Abstract |
構成元素の組み合わせにより、多彩な物性を示すスクッテルダイト化合物において、主たる物性を担う希土類イオンが大きなプニクトゲンのカゴに内包されていることで現れる巨大な熱振動"ラットリング"の重要性が指摘されている。単結晶中性子回折実験及びMEM法による構造解析から、重い電子系超伝導体PrOs_4Sb_<12>及び関連物質NdOs_4Sb_<12>についてラットリングの可視化を行った。解析の結果、熱振動を反映したPr,Ndの核密度分布の詳細について温度変化を含めて明らかにした。PrOs_4Sb_<12>におけるPrイオンの分布は、低温の8KにおいてOs,Sbと比較して倍近く拡がっているものの、等方的で単純なガウス型の分布をもち、カゴの中心が安定位置である事を明らかにした。昇温により急激に分布の幅は拡がり、100K以下から異方性が現れること、また非調和性が200K付近から顕著になることを見出した。NdOs_4Sb_<12>におけるNdイオンについては、Prと比べてさらに拡がった分布を持つ一方、8Kにおける最大密度はカゴの中心にあり、オフセンターポテンシャルが存在しないこと、室温では異方性を持った強い非調和熱振動を示している点など、Prイオンと似た振舞いを示すことを明らかにした。今回の結果から、ROs_4Sb_<12>において強い非調和ポテンシャルの存在と同時に、オフセンター安定位置が存在しないことを直接的に明らかにした。これらの結果は、今後の超音波分散の起源を含めた数々の特異な物性の解明に向け、有益であると考えられる。
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Research Products
(9 results)