2006 Fiscal Year Annual Research Report
充填型スクッテルダイト構造を持つ物質のミュオンスピン回転、緩和法による研究
Project/Area Number |
18027014
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
髭本 亘 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (90291103)
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Keywords | 充填型スクッテルダイト / 異方的超伝導 / 多極子秩序 / μSR法 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
当該研究では充填型スクッテルダイト構造を持つ物質についてのミュオンスピン回転・緩和法(μSR法)を用いた研究を行っている。 PrOs_4Sb_<12>では置換系(Pr_<1-x>La_y)(Os_<1-y>Ru_y)_4Sb_<12>において特異な超伝導状態と通常型超伝導がどのように入れ替わるかを調べた。その結果LaあるいはRuにより置換した系でもナイトシフトには変化がないことを観測した。それに対して時間反転対称性の破れにより生じる内部磁場に関してはLaへの置換によってはxの増加に伴い緩やかに減少していく一方でRu置換ではわずか10%の置換量で内部磁場が見られなくなることを見出した。またPrOs_4Sb_<12>でもナイトシフトの異方性の測定を行い、磁場を(100)と(111)に印加したときには類似の結果が得られることを見出した。これらの結果をもとにこの物質の特異な超伝導の理解を進めていく。 SmRu_4P_<12>では磁気八極子秩序の存在が提案されており、その磁気的状態がどのようなものであるかは大きな興味が持たれている。我々は以前見られていたように零磁場下で転移点以下で内部磁場が発生することを確認し、磁気双極子または磁気八極子の秩序状態を確認した。さらに新たにその内部磁場が低温においてダイナミクスの変化を示すことを見出している。これまでも低温における異常は見られていたが、これが磁性によるものであることを示したのは本研究がはじめてである。 またPrFe_4P_<12>のナイトシフト測定を行い、[100]方向に関してはNMR実験等から提唱されている電気十六極子の存在と矛盾のない結論を得た。これは今後詳細な実験を進め、さらに検証を行う予定である。
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