2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクチノイド充填スクッテルダイト化合物の新しい展開
Project/Area Number |
18027015
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
松田 達磨 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究員 (30370472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 芳範 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究副主幹 (90354901)
青木 大 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30359541)
酒井 宏典 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究員 (80370401)
池田 修悟 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 博士研究員 (80414580)
徳永 陽 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究員 (00354902)
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Keywords | スクッテルダイト / 結晶育成 / アクチノイド / NMR |
Research Abstract |
本研究では、トリウム、ウランからはじまり、ネプツニウム、プルトニウム等の超ウラン元素を含む充填スクッテルダイト化合物の探索と結晶育成をめざしている。既にウラン充填型スクッテルダイト化合物UFe_4P_<12>の単結晶育成には成功しているが、さらに超ウラン元素化合物の結晶育成には、安全面と様々な規制を考慮した上、貴重な材料を無駄にしないための様々試行錯誤による育成条件の確立を行ってきた。その中でフラックス法は現段階で最適な方法であり、この方法を用いて青木らによりNpFe_4P_<12>が初めて発見され、同時に単結晶を得る事に成功した。この単結晶を用いた物性測定から、NpFe_4P_<12>は、温度23Kで強磁性状態に転移する事や、比較的抵抗の大きな半金属的な特性が明らかとなった。さらに核磁気共鳴(NMR)実験から、局在的な5f電子の状態が明らかにされつつある。またこのフラックス法による単結晶育成技術により、ネプツニウムを含むHoCoGa_5-typeのいわゆる115の単結晶育成に成功し、これらの低温の磁気構造について、NMR実験、中性子回折実験など多角的に研究が行われている。この研究は、世界的な超ウラン化合物研究の進展も相まって、超伝導物質プルトニウム115の単結晶育成にも成功し、さらにNMR/NQR実験により、特異な超伝導状態を明らかにする事に成功した。 また一方、新たな結晶育成条件の開発をめざし、化学輸送法や溶融塩フラックス法などにも取り組んだ。まず手始めに、カルコゲナイド元素を用いた結晶育成を行った結果、これまであまり純良な単結晶育成が行われていなかったウランのカルコゲナイド化合物育成に成功した。US_2、UTe_2、UTeS、USeS等がそれらであるが、磁性と電気伝導に密接な関係を示す結果が得られ、さらに加圧により劇的に強磁性転移温度が増加するという興味深い結果がえられている。 充填型スクッテルダイト化合物に極めて結晶構造が酷似した酸化物の結晶育成にも取り組むために、これまでの金属間化合物育成とは異なる炉の整備を行った。水素還元炉を用いた母材料の準備や試料育成のプロセスを確立し、実際にウランを用いた予備的な実験を行った。また上記の化学輸送法も取り入れ、UO_2やNpO_2などの酸化物単結晶育成に成功し、これらの単結晶を用い、核磁気共鳴(NMR)によるミクロスコピックな研究から、NpO_2における低温の特異な秩序状態について詳細な研究が行われた。その結果、低温の秩序状態は八極子秩序状態の可能性を示唆する結果が得られた。
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Research Products
(61 results)