2006 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト化合物における動的ヤーンテラー近藤効果と多極子揺らぎ超伝導
Project/Area Number |
18027016
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
堀田 貴嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (00262163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 広明 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (10354903)
久保 勝規 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (50391272)
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Keywords | f電子系 / 磁性 / 超伝導 / j-j結合描像 / 充填スクッテルダイト / 多極子 / 近藤効果 / 動的ヤーンテラー効果 |
Research Abstract |
今年度は、局所フォノンと結合する伝導電子系の近藤効果を詳細に調べた。まず、電子の軌道自由度と結合する動的ヤーンテラーフォノンの場合、電子の擬スピン(軌道)モーメントとフォノンの回転モーメントの和である全角運動量を伝導電子が遮蔽することによって近藤効果が起こることを明らかにした。そこで放出されるエントロピーは右回りと左回りの回転自由度のlog2であり、カイラル近藤効果と言うことができるが、フォノン自由度が一重項基底状態の形成に本質的な寄与をすることが特徴である。動的ヤーンテラーフォノンによる近藤現象の特徴的温度、いわゆる近藤温度T_kは、非断熱領域においてヤーンテラーアンダーソン模型から導出された異方的交換相互作用をもつs-dモデルによってよく説明される。 一方、ヤーンテラーフォノンの特徴を明確にするために、電子の電荷自由度と結合するホルスタインフォノンの場合の近藤効果も詳しく調べた。このとき、電子格子相互作用gが増加するとT_kは増大するが、これは、クーロン相互作用Uがフォノン媒介の電子間引力U_<ph>によって弱められるからである。そして、U=U_<ph>では、局所電子状態は4重縮退を持ち、T_kは最大となる。さらにgを大きくしてU<U_<ph>になると、gの増加とともにT_kは減りはじめる。つまり、UがU_<ph>によって殆ど打ち消されるあたりで近藤効果は顕著に強められることになる。この近藤効果を、フォノンの衣を纏った電子、すなわちポーラロンに対する有効アンダーソンモデルに基づいて説明した。
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Research Products
(6 results)