2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射光と原子核をプローブとした充填スクッテルダイトの格子振動と構造に関する研究
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18027017
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
筒井 智嗣 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 利用研究促進部門・非弾性散乱チーム, 福主幹研究員 (70360823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水牧 仁一朗 財団法人高輝度光化学研究センター, 利用研究促進部門・動的構造チーム, 副主幹研究員 (60360830)
小林 義男 理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 先任研究員 (30221245)
小林 寿夫 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 教授 (40250675)
石井 賢司 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (40343933)
坪田 雅己 広島大学, 先進機能物質研究センター, 研究員 (40391289)
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Keywords | 高分解能X線非弾性散乱 / 核共鳴非弾性散乱 / 非調和振動 / X線吸収分光 / 価数揺動 / 放射光粉末回折 / 精密構造解析 |
Research Abstract |
放射光の特徴であるエネルギー可変性、高輝度、パルス性を利用し、充填スクッテルダイト化合物における格子振動、電子状態、構造に関する研究を行った。 格子振動に関する研究では、SmRu4P12のSm-149核共鳴非弾性散乱および高分解能X線非弾性散乱を用いて、Pの正20面体に内包されたSm原子の振動モードの分散が非常に小さく、音響フォノンと反交差していることを実験的に証明した。それと同時に、同じ結晶構造を持ち金属絶縁体転移を示すPrRu4P12とは異なって、金属絶縁体転移では構造変化が起こらないことをフォノン分散の温度変化から明らかにした。また、Pよりのカゴのサイズの大きなLa0s4Sb12についても高分解能X線非弾性散乱を行ない、非充填化合物のIrSb3のフォノン分散との比較から、Sbの正20面体に内包されるLaの分散を実験的に検証するとともに、その非調和性についても調べた。 構造に関する研究では、前年度に調べたSm0s4Sb12のSmサイトの温度変化に伴う構造の変化の有無に関して放射光粉末X線回折を用いて調べた。その結果、温度を低下させるとともにイオン半径の大きな2価のSmイオンの3価のSmイオンに対する割合が増加するにもかかわらず、それを内包するSbのカゴが収縮することが明らかとなった。このことは、重い電子的振舞いが実現するために必要な伝導電子と4f電子の強い混成を実現することと関連していることを示唆している。
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Research Products
(5 results)