2006 Fiscal Year Annual Research Report
圧力下における有機超伝導体の単結晶角度回転13C-NMR
Project/Area Number |
18028001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河本 充司 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (60251691)
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Keywords | ^<13>C / 圧力 / NMR / 有機超伝導体 |
Research Abstract |
β'-(BEDT-TTF)(TCNQ)の圧力下磁場誘起超伝導の可能性の指摘 昨年度、β'-(BEDT-TTF)(TCNQ)の圧力下^<13>C-NMRを精力的に行っていたがβ'-(BEDT-TTF)(TCNQ)の電荷移動量の赤外反射スペクトルからのTCNQサイトはダイマーMott絶縁体であり電荷移動量は0.5であることを明らかにした。この結晶は、超高圧下で有機物最高の超伝導転移温度をもつβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2とBEDT-TTF伝導層が同型の構造をしており、常圧においてβ'-(BEDT-TTF)_2ICl_2と同様にBEDT-TTF伝導層が反強磁性が出現することが明らかになっていが、圧力誘起の超伝導は報告されていない。しかし昨年度までの圧力下の^<13>C-NMRより0.8GPaでは、BEDT-TTF相のAF転移はほぼ抑制されおり、超伝導の発現が期待される。この原因は、β'-(BEDT-TTF)_2ICl_2にはないTCNQ相の磁性が存在する。NMRのシフトの解析によりこのTCNQ相のスピンとBEDT-TTFとの交換相互作用が存在することを見出し、J=17Kと見積もった。この物質と同様にアニオン相に磁性をもつ物質としてλ-(BEDT-TSF)_2FeBr_4がある。この物質はFeBr_4^-がβ'-(BEDT-TTF)(TCNQ)のTCNQ相と同様に反強磁性転移し、この磁気モーメントのBEDT-TSFへの交換磁場が超伝導の発現を抑制している。外部磁場をかけることより交換磁場がキャンセルされ超伝導が発現する。Jよりこの交換磁場をキャンセルする外部磁場が25Tと見積もられ、β'-(BEDT-TTF)(TCNQ)は0.8GPa以上の磁場でBEDT-TTF相の反強磁性が抑制され25Tの外部磁場を印加することにより超伝導が発現する可能性を示唆した。
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Research Products
(6 results)