2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体での異方的超伝導と量子相転移の最適化変分モンテカルロ法による研究
Project/Area Number |
18028005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (60212304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田仲 由喜夫 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40212039)
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Keywords | モット転移 / ダブロンーホロン相関 / 反強磁性 / d波 / ハバードモデル / κ-ET塩 / 三角格子 / 変分モンテカルロ法 |
Research Abstract |
κ-ET塩や(TMTCF)_2Xなどの分子性結晶物質は、バンド幅が狭いために相対的に電子相関が強い系であり、反強磁性秩序、モット転移、異方的超伝導など強相関系で起こる様々な現象が見出されている。特にκ-ET塩は異方的三角格子上の単バンドハーフフィリングのハバードモデルにより、その電子的性質が記述できると考えられており、置換基を変えることにより異方性パラメーターt'が、また圧力を変えることによりバンド幅(相関強度)が変えられる。特に最近かなり等方性がよい化合物で非磁性の超伝導-絶縁体転移が見出されて話題になっている。 本研究ではこのモデルに対し、あらゆる相関強度U/tで局所相関効果を厳密に扱うことが可能な変分モンテカルロ法を用いて、基底状態の様々な性質を議論し、このモデルとET塩の物理を総合的に考える。初年度は、d波の一重項状態の性質を中心に考えた。変分試行関数としてd波対称性を持つBCS関数に同一サイト相関因子とダブロン-ホロン間の束縛因子を最近接と次近接サイトまで取り入れた4体相関因子を導入して計算を行った。この4体因子を導入することによって、定性的に正しいモット転移の記述ができる。また反強磁性は独立な波動関数を用いて考えた。U-t'のモデルパラメーター空間内でフラストレーションt'/tが小さな場合は、反強磁性秩序相が大きな領域を占めるが、或る程度大きな場合は非磁性になる。d波状態に関しては、バンド幅程度の相関強度で、非磁性のモット転移を起こし、転移の弱相関側で強い超伝導が現れる。またt'/tが大きくなって反強磁性相関が弱くなると、d波の超伝導も減衰することが判った。さらに時間反転対称性の破れたd+d波やd+id波が等方性のよい領域及び、対角方向によりホッピングが強い場合、現れることが判った。
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