2006 Fiscal Year Annual Research Report
有機超伝導体における分子ダイマー化効果に関する理論的研究
Project/Area Number |
18028011
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
黒木 和彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (10242091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 慶忠 神奈川大学, 工学部, 特別助手 (90360213)
有田 亮太郎 理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 研究員 (80332592)
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Keywords | θ-(BEDT-TIF)_2X / (TMTSF)_2X / 電荷揺らぎ / フェルミ面 / 超伝導 / 磁場 / 核磁気緩和率 |
Research Abstract |
(1)θ-(BEDT-TTF)_2Xの電荷秩序と超伝導 θ-(BEDT-TTF)_2MM'(SCN)_4(M=Rb, Cs, M'=Co, Zn)においては、高温の金属状態において特徴的な電荷構造が実験的に観測され、このことがこの物質において観測される非線形伝導と関係がある可能性が指摘されている。我々はこの電荷揺らぎの波数がフェルミ面のネスティング・ベクトルと整合することから、フェルミ面の重要性を主張してきた。今年度は、特にRb塩とCs塩の違いに焦点をあてた。Rb塩の場合にはフェルミ面のネスティングがよく、電荷感受率も発達しやすいが、Cs塩の場合にはネスティングがよくないために、電荷感受率の強度が発達しにくいことがわかり、実験結果とよい対応を示していることがわかった。 (2)(TMTSF)_2Xの超伝導 擬一次元有機導体(TMTSF)_2Xにおいてはスピン・トリプレット超伝導の可能性が実験的に指摘されているが、我々はそのペアリング機構として、スピン揺らぎと電荷揺らぎの共存に基づくスピン・トリプレットf波超伝導機構を提唱してきた。今年度は磁場中におけるd波とf波の競合を調べた。その結果、磁場中ではd波が抑制され、f波の出現しやすい状況になることがわかった。また、磁場下での超伝導についてボルテックスの効果を調べ、実験における核磁気緩和率の温度依存性を定性的に説明することに成功した。
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