2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規な機能性π-電子系ドナー分子による次元性及び配列制御
Project/Area Number |
18028013
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
迫 克也 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (90235234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立光 斉 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (70101277)
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Keywords | テトラチアフルバレン(TTF) / シクロファン / 直交π-電子系 / 分子内電子移動 / 分子整流器 |
Research Abstract |
[3.3]パラシクロファンにTTF型ドナーを直交させたπ-電子系を組み込んだ三次元的ドナー分子であるドナー・ドナー直交型シクロファン(DT-TTF直交型シクロファン)として、(1)直交したπ-電子系間での電子移動、(2)分子内電荷分離、(3)電子移動の方向性制御等が期待できる直交型シクロファン1及び基本ユニットである1,3-dithiol-2-ylideneを組み込んだDT直交型シクロファン2を合成し、その物性ついて明らかにしてきた。今回、AviramとRatnerによって提唱された分子整流器としてのモデル化合物であるTTF-TCNQ系とは違ったタイプの分子整流器モデル分子として、電位勾配が期待できるドナーとアクセプターを三次元的なπ-電子系に組み込んだドナー・アクセプター直交型シクロファンを設計した。ドナー・アクセプター直交型シクロファンとして、電位勾配が期待できるドナーとアクセプターをそれぞれ組み込んだドナー(1,3-dithiol-2-ylidene : DT)・アクセプター(dicyanoethylidene : CN)DT-CN直交型シクロファン3及び、ドナー部位として(2-methylidene-1,3-dithiolo[4,5-d]-tetrathiafulvalene : DT-TTF)とアクセプター(dicyanoethylidene : CN)DT-TTF-CN直交型シクロファン4の合成に成功した。合成したドナー・アクセプター直交型シクロファン(3,4)の光物性、電気化学的特性を明らかにするために、電子スペクトルおよびCV測定を行った。電子スペクトルの結果より、ドナー・アクセプター直交型シクロファン(3,4)では、ドナー・ドナー直交型シクロファン(1,2)に比べて、分子内電荷移動バンド(ICT)が20nm長波長シフトしていることから、ドナーユニットからベンゼン環へ、さらにベンゼン環からアクセプターユニットへの遠隔分子内電荷移動相互作用の存在が示唆された。またCV測定の結果より、ドナー・アクセプター直交型シクロファン3では、三段階酸化過程と一段階還元過程が観測された。4では四段階酸化過程と一段階還元過程が観測された。第一から第三酸化過程はほぼ可逆でDT-TTF部位によるものであり、第四酸化過程はシクロファンベンゼンの酸化による。また還元過程はジシアノエチレン部位によるものであった。第一酸化電位と第一還元電位の差から、HOMO-LUMOギャップ3のHOMO-LUMOギャップは1.17eV、4では0.92eVと見積もられ、3はTTF-BQ(ベンゾキノン)系と、4はTTF-TCNAQ系と同程度であることがわかった。
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Research Products
(2 results)