2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子性導体の外部パラメター制御による物性熱力学的研究
Project/Area Number |
18028015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中澤 康浩 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (60222163)
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Keywords | 熱容量 / 磁場 / 圧力 / 分子性固体 |
Research Abstract |
分子性固体の小型単結晶試料の熱力学的な測定は緩和型、交流型の熱容量測定法によって行われるが、それらの方法では外界からの熱の流入を完全に遮断せず平衡状態を保った形の測定が可能である。そのため、本研究では、分子性導体の熱力学的な電子物性研究を外的な環境を制御しながら行い、他物性と相補的な情報を提案する目的で計画した。平成18年度は、主として磁場、圧力の環境制御下での測定を行うための装置開発を中心に行った。低温、磁場下で十分な感度をもつ酸化ルテニウムの小型チップ抵抗を圧力下温度計として用いて高感度ブリッジ信号の振幅検出を通して測定をおこなうことを試みた。このチップ抵抗は、厚膜状に成型された焼結体の抵抗体であり圧力下でも十分に温度計として使用可能であることが期待される。低温、圧力印加状態での基礎データをとり、これらのチップ型温度計を十分感度の良いセンサーとして使用できることを確認した。 次いで有機化合物単結晶試料の測定を行うため、Be-Cuの高圧力セルを用いた交流型の熱容量測定を作製した。四端子計測した抵抗成分の周期的加熱による振動を位相検波する方法で、100μg程度のMn_4クラスターからなる分子性磁性体の相転移挙動を捉える予備実験を行った。最低到達温度は0.9Kであり、試料にものよるが10kbarまでの加圧下での測定を試みたところ、2Kでの磁気相転移のピークが3kbar程度の加圧により一度ブロードになり、さらに圧力印加すると再びシャープに変化していくことが見出された。圧力下熱容量の定性的な変化を比較的高感度に捉えることが可能であるため、電荷秩序絶縁体が形成される(DI-DCNQI)_2Ag系に対する熱容量の測定を進め、6K付近で生じる磁気相転移が消失していく様子を検出することに成功した。
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Research Products
(4 results)