2006 Fiscal Year Annual Research Report
拡張共役系を基盤とする電子移動系の構築と新機能開拓
Project/Area Number |
18028016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安蘇 芳雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60151065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家 裕隆 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80362622)
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Keywords | オリゴチオフェン / 分岐型オリゴチオフェン / デンドリマー / 酸化還元電位 / 自己会合 / 電界効果トランジスタ / フラーレン / ディスク型共役系 |
Research Abstract |
π電子系相互作用による自己集合性が期待できる多分岐型オリゴチオフェンおよびディスク型チオフェン縮合多環拡張共役系の創製を基盤とする超分子非局在電子系の構築と薄膜中での高効率電子移動系の開発,およびエレクトロニクス素子への応用展開として,以下の研究を遂行した。 1.チオフェン4量体と9量体を基本骨格として,1,3,5-トリ置換ベンゼンを分岐部とするデンドリマー型オリゴチオフェンの開発を進め,会合定数と熱力学的定数を決定した。酸化状態の安定化のためにすべてのチオフェン末端部をフェニル基で置換した化合物において,ボトムコンタクト電界効果トランジスタ(FET)特性を評価し,デンドリマーの世代と中央部オリゴチオフェン鎖長に依存した良好なp-型特性を明らかにした。 2.上記デンドリマー型オリゴチオフェンと[60]フラーレンの各種連結分子の合成を達成した。特に段階的に二置換フラーレン誘導体の合成にも成功した。還元電位測定から,デンドリマーの特異な被覆効果が見出された。FET素子評価によって,デンドリマーの世代と置換数に依存して,両極性が出現するという興味深い特性を明らかにした。 3.拡張パイ電子系を有する新規なディスク型分子として,各種アルキル基置換ヘキサチエノトリフェニレンの短段階合成を達成した。これらの化合物は可視部の電子吸収と低い酸化電位を示し,p-型有機半導体として有望な性質を有している。ヘキサメチル誘導体のX線構造解析でその特異的な非平面構造が明らかとなった。
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