2006 Fiscal Year Annual Research Report
有限温度における擬一次元分子性導体の電荷秩序の理論-量子揺らぎと高次元性の共存-
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18028018
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉岡 英生 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (40252225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 岳生 東京大学, 物性研究所, 助教授 (80332956)
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Keywords | 分子性導体 / 擬一次元 / 電荷秩序 / フラストレーション / 二量体化 / 拡張ハバード模型 / 転送行列法 / モット絶縁体 |
Research Abstract |
昨年度の研究において、格子内斥力だけでなく最近接格子間斥力を有する充填率1/4一次元ハバード模型が鎖間斥力で結合した擬一次元電子系の有限温度電荷秩序相転移を、鎖間平均場近似とボソン化法を用いて考察した。今年度は、この研究を拡張して以下のような研究を行なった。 1.鎖内二量体化と鎖間フラストレーションを有する擬一次元電子系の電荷秩序相転移 鎖内の電子ホッピングが一格子間隔毎に異なった値をとるという二量体化と鎖間相互作用にフラストレーションがある擬一次元電子系の電荷秩序相転移温度を鎖間平均場とボソン化法を用いて解析した。鎖間相互作用がない純粋な一次元の場合、この系では、モット絶縁体状態と電荷秩序絶縁体状熊の二種類の絶縁体状熊が実現していることが知られている。この系に対して鎖間相互作用を導入し電荷秩序相転移温度を計算すると、二量体化によって相転移温度は減少することが示された。特にモット絶縁体領域で有限温度電荷秩序相が出現するためには、有限の大きさの鎖間相互作用が必要であることがわかった。この結果は極最近の重水素化されたTMTTF塩の電荷秩序相転移温度に関する実験結果とコンステントである。 2.転送行列法による擬一次元分子性導体の有限温度相転移の解析 鎖内の格子変位を取り入れた擬一次元模型に対して鎖間平均場近似を適用し、得られた有効一次元系に対して転送行列を滴用して数値計算を行ない、有限温度において様々な秩序相を見出した。特に、DCNQI塩に対応する二量体化がない模型において、自発的に二量体化が現れるダイマーモット相、電荷秩序絶縁体相に加え、それら二つの状熊が共存している強誘電相が現れることを見出した。現在、このような状態は実験的に発見されていないが、今後観測されることが期待される。
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Research Products
(6 results)