2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18028021
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
長谷川 泰正 兵庫県立大学, 大学院物質理学研究科, 助教授 (20180870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸木 敬太 熊本大学, 教育学部, 助教授 (60359966)
兼安 洋乃 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助手 (80364040)
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Keywords | 擬1次元導体 / 量子ホール効果 / 角度依存磁気抵抗 / 電子相関 / グラフェン / 磁場誘起スピン密度波 / トポロジー不変量 / 陰イオン整列 |
Research Abstract |
擬1次元系導体(TMTSF)_2X,(X=PF_6,C10_4など)の磁場中の電気伝導度は、磁場の角度に依存して変化する。磁場をx軸に垂直の面で回転させたときの面間の伝導度(σ_<zz>の角度依存性は、フェルミ面の形状と半古典的な運動方程式で理解できることが知られているが、もっとも伝導度のよい方向への電気伝導度σ_<xx>については、角度依存性の原因が明らかではなかった。我々は、従来は十分な取り扱いがなされていなかった電子間斥力を考えることによって、フェルミ速度、緩和時間、繰り込み係数などがフェルミ面上の波数に依存し、σ_<xx>こ磁場の角度への依存性が表れることを示した。 擬1次元導体では磁場によってスピン密度波が誘起され、整数Nに量子化された量子ホール効果が観測される。(TMTSF)_2C1O_4では、陰イオンが低温で2倍周期で整列し伝導電子に対するポテンシャル変化を引き起こすため、量子数Nが(TMTSF)_2PF_6とは異なることが知られていた。我々は、周期ポテンシャルの効果を最低次だけとる摂動では不十分であり高次まで取り入れる必要があることを示し、周期ポテンシャルと磁場の強さを変化させたときホール伝導度が負の値に量子化される鎖域があることがわかった。このことは、最近の実験結果と一致する。 最近、グラフェン(単層グラファイト)が作成され、量子ホール効果が観測され関心を集めている。磁場や化学ポテンシャルを変化させたとき、グラフェンのホール伝導度は、通常の2次元半導体で見られるようなN=0,1,2,3,…。という量子化ではなく、N=±2,6,10,...=±2×(1,3,5,...)という値に量子化されることが発見された。我々は、この通常とは異なる量子化が、ハニカム格子での磁場とエネルギーの関係(Hofstadterの図)とStreda公式より得られ、トポロジー不変量として理解できることを示した。
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