2006 Fiscal Year Annual Research Report
新奇分子性導体をめざしたテトラアザフルバレン系アクセプター分子の設計と合成
Project/Area Number |
18028023
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
青沼 秀児 大阪電気通信大学, 工学部, 助教授 (70231777)
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Keywords | 分子性導体 / 電気伝導性 / ヘテロ芳香族化合物 / キノイド / 分子軌道法 / πアクセプター / 有機伝導体 / 配位子 |
Research Abstract |
分子性導体の構成分子は、ドナー系ではテトラチアフルバレン(TTF)等のカルコゲン原子を含む環状π系が主流であり、多種多様な構造と物性を示す錯体が得られている。一方、アクセプター系では、TCNQやDCNQIといったキノイド構造を持つπ系等が知られている。特にDCNQI系は、両末端のシアノイミノ基が示す金属カチオンへの高い配位能により多彩な物性の発現が見られる。本研究では新物質探索の一環として、TTFとの構造が類似したテトラアザフルバレン(ビイミダゾール)を基本骨格とする新しい構造のπアクセプター分子の開発を目指した。テトラアザフルバレンを構成するヘテロ芳香環に環外二重結合を導入してキノイド類似構造とし、ここヘシアノイミノ基を導入すれば、DCNQI等に匹敵する高いアクセプター性が期待できる。分子軌道法(Gaussian B3LYP/6-311G)に基づき検討した結果、1,1'-dialkyl-2,2'-biimidazoleの5,5'位への環外二重結合の導入が最も適切であることが分かった。そこで、本年度は、まずグリオキサールと酢酸アンモニウムから出発して3段階の反応で、前駆体となるジニトロ化合物1,1'-dimethyl-5,5'-dinitro-2,2'-biimidazoleを合成した。その還元的アミノ化の後、シアノ基を導入することで目的化合物の合成をめざしたが、成功していない。今後、他の合成経路について検討する。
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