2006 Fiscal Year Annual Research Report
様々な環境下における分子性導体の構造変形と電子状態に対する第一原理計算
Project/Area Number |
18028025
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮崎 剛 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (50354147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木野 日織 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主任研究員 (70282605)
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Keywords | 有機導体 / 圧力効果 / 第一原理計算 / 構造最適化 / 密度汎関数法 / FLEX近似 |
Research Abstract |
本研究課題では、第一原理計算による精度の高い構造最適化手法を用い、様々な環境下での分子性導体の構造変化に対する全エネルギーの変化、電子状態の変化を詳細に調べる。特に、1)最新の実験結果と定量的に比較できる第一原理計算を行うことによって、実験グループをサポートする、2)(EDO-TTF)_2PF_6で見られる大きな分子変形を伴う電荷秩序状態笹対する第一原理計算、という二つの課題に取り組む。1)では、圧力下ホール係数測定、角度分解光電子分光、分子振動スペクトルや比熱測定などの実験結果を対象とする。2)では、LDA(局所密度近似)等に基づいた第一原理計算では再現することが困難な電荷秩序状態に対する計算精度を実験結果、量子化学の計算結果等を参考にして明らかにし、この物質での構造変化と電子状態に対する詳細な研究を行う。 本年度は、1)については(BEDT-TTF)_3Br(pBIB)における詳細なバンド分散、状態密度を求め、角度分解光電子分光の実験結果と比較を行った。2)については、(EDO-TTF)_2PF_6の高温金属相と低温絶縁相の構造最適化と電子状態計算を開始した。低温絶縁相で報告されている二つの分子構造が密度汎関数法にもとづく第一原理計算でも安定に存在することが分かった。実験結果と理論計算による構造の違いなどに関する詳細な解析は次年度に行われる予定である。
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