2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18029007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 浩幸 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (50250824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 弘道 茨城大学, 工学部, 助教授 (70168946)
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Keywords | 金属ガラス / レーザーフラッシュ法 / 熱拡散率 / 臨界冷却速度 |
Research Abstract |
研究代表者等は、Pd系金属ガラスの融体状態における熱拡散率の値と臨界冷却速度の問に相関があることを見出した。具体的には液相線における熱拡散率の値を金属ガラスが得られる臨界冷却速度で整理すると、臨界冷却速度が小さいほど熱拡散率が小さいという結果が得られた。Pd系の金属ガラスの場合には非金属であるPを含んだ合金であるので、金属のみの系で同様の傾向があるかは明らかではなかった。そこで、ZrAlNi系について3種類の合金(Zr65Al7.5Cu27.5,Zr60Al15Ni25,Zr55Al10Ni5Cu30)について、液相線における熱拡散率の値をもとめ、Pd系と同様の整理をおこんった。その結果、Pd系の場合と同様に臨界冷却速度が小さいほど熱拡散率が小さいという結果が得られた。さらに、ZrCuAl系の金属ガラスについて、Alの濃度を一定にし、Cu、Zrの濃度を変化させた3種類の金属ガラスについて室温において熱拡散率を測定し、比較を行った。Cuの濃度は30,35,40at%で変化させた。その結果、熱拡散率の値はCu濃度が35at%のところで極小を示した。また、その値は合金を構成する元素の熱拡散率の値よりはるかに小さい値を示した。このように小さな熱拡散率を示す原因について構造の観点から考察を行った。Pd系の場合には非金属であるPの周りに共有結合的クラスが形成されるとガラス形成能が向上すると考えられている。このことから共有結合的クラスタの形成により、共有結合の電子数が増加し、それに伴い自由電子数が減少し、熱拡散率が減少するということが考えられる。一方、Zr系の場合には、Zrのまわりに共有結合と金属結合が共存した局所構造があると考えられており、共有結合が増大し、共有結合の電子数の増加により、自由電子数が減少し、熱拡散率が低下するということが考えられる。
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Research Products
(1 results)