2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスの局所原子構造の球面収差補正電子顕微鏡による研究
Project/Area Number |
18029011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山崎 順 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 助教 (40335071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 信夫 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (40126876)
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Keywords | 収差補正TEM / 金属ガラス / 制限視野電子回折 / 中距離範囲秩序 / パターソン関数 |
Research Abstract |
金属ガラスの高いガラス形成能および安定化機構を解明する手がかりとして、中距離範囲秩序すなわちアモルファス母相中に点在する結晶性ナノクラスターの有無、サイズ、結晶構造を解明することが非常に重要であり、電子顕微鏡法を用いてこれらを検出する2通りの手法に取り組んだ。 一つ目は収差補正TEMを用いた直接観察であり、高分解能電子顕微鏡像に一般に現れる偽像の除去法を考案し、シミュレーションと実験の両面から検証を行った。しかし、クラスターサイズが2nm以下程度に小さくなり、さらに晶帯軸から傾斜した場合、収差補正TEMを用いても格子像的なコントラストが得られず検出が極度に困難となることが明らかとなった。 二つ目に、前年度に確立した、収差補正TEMの特長を生かした制限視野電子回折法(直径数nmの領域から平行ビーム照射の回折図形が取得可能)をZrNi系金属ガラスに適用した。直径100nmの領域から取得した通常の電子回折図形に現れるハローリングが、この手法では多数の斑点の集合として観測された。この回折図形のフーリエ変換、すなわち二次元パターソン関数を計算したところ、直径2nm弱に相当する範囲内に中距離範囲秩序構造と思われる格子縞が現れた。これは、アモルファス母相中に埋没している結晶性ナノクラスターを、本手法で検出可能であることを示す結果である。 本研究では、TEM像では観察することが困難な金属ガラス中の結晶性ナノクラスターを検出する新たな手法として、電子回折を用いた全く新しい方法を確立することに成功した。本手法は、今後の金属ガラス研究の展開に非常に重要な役割を果たすものである。
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