2006 Fiscal Year Annual Research Report
Ni基金属ガラス箔の溶接接合特性評価と異材接合への展開
Project/Area Number |
18029013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津村 卓也 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (00283812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 一博 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (80112069)
高橋 誠 大阪大学, 接合科学研究所, 助手 (10294133)
前田 将克 大阪大学, 先端化学イノベーションセンター, 助手 (00263327)
岩本 知広 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (60311635)
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Keywords | 金属ガラス / Ni基金属ガラス箔 / ファイバーレーザ溶接 / 真空熱処理 / 重ね溶接継手 / 継手強度 / 熱的安定性 / 非晶質 |
Research Abstract |
Ni基(Ni_<53>Nb_<20>Ti_<10>Zr_8Co_6Cu_3)金属ガラス箔材の実用継手形成を目指し,過冷却液体温度域で重ね溶接継手を形成する新しいブレーズ溶接法の確立とその接合機構の解明を目的とした.まず,短冊状試料をガラス転移温度(Tg)から結晶化温度(Tx)付近の7温度条件で5分間真空熱処理を行い熱的安定性を評価した.X線回折の結果,Tgを超える861K迄は結晶化ピークが見られなかったが,10K上の871K以上ではNi_4Ti_3のピークが見られ,Txを超える947K以上ではその形状が顕著に変化した.硬さ試験の結果,861K迄は母材同等の810HV,871K以上は1000HV,947K以上は1200HVであった.また熱処理材の引張強度は未処理材に比べ大幅に低下した.よって,861K迄は構造緩和もしくはNi_4Ti_3微結晶生成が,871K以上Tx迄は試料全体のNi_4Ti_3生成が,947K以上では全面結晶化が起きていると推察された.この様な熱的安定性を有する箔材に,高冷却速度が期待できるファイバーレーザを適用し,重ね溶接性と機械的性質を評価した.レーザ出力60-180W,溶接速度6-10m/minの範囲でAr雰囲気中にて溶接を行った結果,本条件範囲内では溶接欠陥は見られなかった.溶接ビードのX線回折の結果,全ての条件で結晶化ピークが見られず,その断面硬さが母材同等だったことより溶接ビードは構造緩和もしくは非晶質状態と推察された.さらにレーザ出力120W,溶接速度6m/minの溶接ビードTEM像においてナノ結晶等は観察されず,非晶質の重ね継手が形成できたと考える.重ね継手の引張試験の結果,破断は溶接ビード端部もしくは溶接ビード以外の母材部で発生したため,最大荷重値を載荷面積(9mm×25μm)で除し,便宜上重ね継手強度と定義した.その値は,800-1700MPaであった.
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