2006 Fiscal Year Annual Research Report
バルク金属ガラスの高速変形応答解析と変形誘起組織変化の相関解明
Project/Area Number |
18029024
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
向井 敏司 独立行政法人物質・材料研究機構, 新構造材料センター, グループリーダー (40254429)
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Keywords | 構造・機能材料 / 金属ガラス / 変形応答 / 変形機構 / 変形速度 / せん断帯 / 変形誘起組織変化 / 高速変形 |
Research Abstract |
バルク金属ガラスにおける不均一変形はせん断帯の形成による局所変形であるため、せん断帯の形成およびその進展を制御することが、室温付近での圧縮ひずみ増大のためのポイントとなる。本研究ではバルク金属ガラスのせん断帯形成に及ぼすひずみ速度の影響について調査している。Zr系バルク金属ガラスでは比較的ガラス遷移温度域の広いZrCuAl系を用い、室温でのせん断帯形成開始応力ならびにその後の応力セレーション振幅に及ぼす変形速度の影響について検討した。また、共晶組成(Zr_<50>Cu_<40>Al_<10>)からZr富の亜共晶組成(Zr_<60>Cu_<30>Al_<10>。)への組成変化が、せん断帯形成に及ぼす影響についても検討した。 降伏後に現れるセレーション、すなわち、応力の繰り返し変動は、せん断帯の形成による急激な応力低下と材料の内部組織に起因したすべり変形の抑制による応力増加が交互に起こることによる。したがって、圧縮変形にともなう弾性変形後の塑性ひずみは、弾性ひずみとせん断帯の発生によるすべり変形により生ずる塑性ひずみの和として現れる見かけ上のものである。この応力セレーションの振幅は低ひずみ速度で大きくなる傾向にあった。すなわち、あるせん断帯で起こるすべり変形に伴う塑性ひずみは、ひずみ速度が低いほど大きい結果となった。また、亜共晶組成であるZr_<60>Cu_<30>Al_<10>合金の応力セレーションの間隔が、共晶組成のZr_<50>Cu_<40>Al_<10>合金の場合と比較して狭くなっている。すなわち、ある箇所で発現したせん断帯が内的因子との相互作用により停止し、次のせん断帯が発現するまでに要するひずみが小さいことがわかる。内的因子としては、例えば、同時発現した他のせん断帯との交差による相互作用やせん断帯が発現する近傍に生成するナノ結晶との相互作用などが考えられる。
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