2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロプラズマ制御のための微視的表面物性の計測と制御
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18030003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐々木 正洋 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (80282333)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 局所トンネル障壁高さ / 電界電子放出 / 炭素薄膜 / 仕事関数 / マイクロプラズマ / 電極 |
Research Abstract |
プラズマ領域の微小化に伴い宇宙線等による自発的電子放出の確率が減少することが知られている。ここで、マイクロプラズマの高効率生成には、電極材料からの能動的な電界電子放出が有効である。本研究では、プラズマ生成の条件下で大電流の電子放出を実現する電極材料を提供することを目的とする。走査トンネル顕微鏡(STM)を用いた微視的物性の計測から電子放出機構を明らかにし、この知見を元に目的達成を目指す。本年度は、アーク放電による炭素薄膜の優れた電子放出特性を実験的に検証し、その微視的表面物性の計測から電子放出機構に関する検討を行った。 まず、炭素薄膜をシリコン電界放出アレイの被覆膜として用い、電子放出特性を計測した。これまで、被覆膜として高融点、低仕事関数物質であるHfCの有効性が明らかになっている。今回はHfC薄膜と比較し、極めて優れた電子放出特性を示すことを明らかにした。電子放出特性は炭素薄膜の仕事関数が著しく低いことを示唆するが、ケルビンプローブで計測した巨視的な仕事関数は、むしろ高いことが明らかになっている。 この電子放出機構を明らかにするために、STMを用い局所仕事関数に相当する局所トンネル障壁高さ(LBH)分布を計測した。その結果、炭素膜表面は数ナノメーターのグラファイトのグレインとアモルファスの炭素で構成されており、探針を近接させて計測したLBHが分布を持ち、LBHの極めて低い場所が存在していることが明らかになった。優れた電子放出特性に関連しているものと予想されるが、その詳細は明らかになっていない。来年度は、まず、ナノメータースケールで電子放出点を特定し、電子放出機構を明らかにする予定である。これをもとに更に特性の優れた電極材料実現を目指す。また、ここで得られた材料を用いて実際にマイクロプラズマ生成に適用し、マイクロプラズマ用の電極材料としての有効性を検証する予定である。
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