Research Abstract |
本研究では,大気圧マイクロプラズマによるナノ粒子合成・デポジションへの応用を検討した.研究代表者らはこれまでに,金属ワイヤーを原料に利用したナノ粒子合成,局所デポジション技術を開発し,酸化モリブデンや酸化タングステンなどの酸化物ナノ粒子,最近ではモリブデン,タングステンなどの金属粒子を合成,大気中でデポジションさせることに成功している.また,プロセスの発光分光や生成粒子観察結果を基に,ナノ粒子の生成メカニズムを明らかにしてきた. 平成19年度は,この手法で合成,デポジション可能なナノ粒子種の更なる拡大を目指した研究開発を行った.金などの貴金属,スズなどの低融点材料のナノ粒子は,昨年度までの連続発生マイクロプラズマを利用する手法では不可能であったが,プラズマの発生法をパルス化したことで,これらのナノ粒子の合成が可能になった. 本開発手法のパルス発生では,ミリ秒オーダーで電力のオン・オフを重畳させた基本周波数450MHzの高周波をコイルに印加し,マイクロプラズマを間歇的に発生させた.このパルス発生のための電圧波形が金ナノ粒子生成に深く影響することを見出し,様々検討を重ね,典型的な矩形波によるパルス波形を印加した場合より,約15倍の量の金ナノ粒子を合成する手法の開発に成功した.得られた金ナノ粒子は,平均粒径約8nmであり,標準偏差1.2nmという,優れた単分散性金ナノ粒子であった.また,その金ナノ粒子を所望の箇所にデポジションさせ,微小金薄膜を作製することが可能になった. 上記のような金ナノ粒子以外にも,スズなどの低融点金属粒子の合成が可能になり,従来の連続発生法と併せて,大気圧マイクロプラズマで合成・デポジション可能なナノ粒子種が拡大された.
|