2006 Fiscal Year Annual Research Report
誘電及び蛍光分光法による荷電高分子・アクチン周りのハイパーモバイル水動態解析
Project/Area Number |
18031004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (60282109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 崇 東北大学, 大学院工学研究科, 助手 (40361133)
高橋 卓也 立命館大学, 情報理工学部, 助教授 (70262102)
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Keywords | ハイパーモバイル水 / アクチン / ポリアイオネン / 分子動力学計算 / ポリアクリル酸 |
Research Abstract |
(1)ハイパーモバイル水の物理的形成条件の解明 主鎖中に解離基(ジメチルアミノ基)をもち、しかもその解離基間の距離(-(-CH2)n-)を変えた4種類(n=2,3,4,6)のポリアイオネンを合成した。作成したポリアイオネンについて200MHz〜26GHzの範囲で誘電スペクトル測定を行った。その結果、高分子鎖の周囲にハーパーモバイル水をn=2では形成し、n=6では形成しないこと、また、nの数(疎水基の長さ)の増大とともに通常水和水の量が増大し、逆にハイパーモバイル水は減少することを明らかにした。したがって、ハイパーモバイル水は、荷電基単体では形成量は少なく、線状に並んだ電荷がある場合に形成されることがわかった。 (2)イオン周りの水の分子動力学計算 ハイパーモバイル水検証のため、有機分子や単原子イオンなどの水溶液での古典的なMD計算を行った。計算条件の効果を確認するため、1)各種温度制御(Nose-Hoover、速度スケーリング)および温度制御条件なし(エネルギー一定)、2)カットオフ長変化およびEwald条件、3)球境界および周期境界系などの計算を行った。その結果、UREA分子周囲に関しては、ほとんどの計算条件において酸素原子周囲で水分子の運動性の上昇が見出された。イオンに関してはK+やI-など運動性の情報が実験的に推測されているものでも見出すことはできず、基本的に運動性は低下していた。また純水系で高電場下(1〜1000MV/m)のMDも行ったが、運動性が低下することはあっても上昇することは見出されなかった。 (3)蛍光スペクトル測定によるハイパーモバイル水量との相関の高いパラメータの抽出 リボフラビンKF, KC1,KBr, KI各水溶液で蛍光スペクトルを測定すると、Hofmeister系列と逆順で強い蛍光抑制が認められ、その他フェノール類の解離反応にともなう吸光スペクトルも傾向が認められた。
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