2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ開口基板を用いたシャペロニンGroELの1分子機能解析
Project/Area Number |
18031008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 太郎 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (80376590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷井 孝至 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (20339708)
島本 直伸 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (50386629)
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Keywords | シャペロニン / ナノ開口基板 / 1分子蛍光イメージング / 協同性 |
Research Abstract |
シャペロニンGroELは、リング2つが背中合わせに結合したたる型構造をしており、リングの縁に変性タンパク質を結合した状態で、さらにふた型のGroESを結合して変性タンパク質を内部空洞に隔離し、他の変性タンパク質との凝集を防ぎながら折れたたみを進行させる。本研究では、反応中間体の同定とその出現のタイミングを決定することで、GroELのリング間協同性がどのように変化してタンパク質が隔離され、折れたたむのかを明らかにする。本年度は以下の成果を得た。1)一分子のGroELに複数のGroESがどのように結合・解離するかを明らかにするには、個々の反応を区別して観察する必要がある。しかし、細胞内と同じ1uMの蛍光標識GroES存在下では背景光が高く、1分子観察できないという問題がある。そこで、高濃度のGroES存在下で1分子蛍光イメージングが可能な実験系を立ち上げた。直径約100nmの穴を持つアルミニウム薄膜で覆われた石英ガラスを作製した。この基板のガラス面側から励起光を照射すると、光は穴の底部だけ照射されるため、背景光はほとんど観察されないはずである。様々な条件検討を行い、従来法に比べ少なくとも20倍高濃度の蛍光色素存在下での1分子観察できることを確かめた。2)ナノ開口内へのGroELの固定法を確立し、GroESとの相互作用を1分子蛍光イメージングした。まず、biotin化した蛍光標識GroELをbiotin化BSA、streptavidinを介してナノ開口内に固定した後、20nMのCy3-GroES、2mM ATP、変性タンパク質を含む溶液で満たし、蛍光顕微鏡で観察した。その結果、予め確認したIC5-GroELの位置に、Cy3-GroESが何度も結合・解離する様子が観察された。GroESがGroELに結合している時間、すなわちCy3の蛍光強度が上昇している時間をそれぞれ解析してヒストグラムを作成したところ、既報通り、中間状態を持つ2段階の反応を経てGroESが解離していた。以上から、ナノ開口内に固定した場合でも、GroELの機能を阻害することなく1分子観察できることが確かめられた。さらに高濃度のGroES存在下での1分子イメージングする予定である。
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