2006 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的変異解析に基づく新規プロリン異性化酵素の発掘と創製
Project/Area Number |
18031009
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊倉 貞吉 東京医科歯科大学, 大学院疾患生命科学研究部, 助教授 (50251393)
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Keywords | プロリン異性化酵素 / 酵素活性 / FKBP12 / 主鎖構造 / 蛋白質 / データベース検索 / プロリルエンドペプチダーゼ / 活性部位 |
Research Abstract |
タンパク質の構成要素であるプロリン残基の異性化反応は、プロリン異性化酵素(PPIase)により制御され、様々な生理活性に活用されている事が明らかになってきた。しかし、PPIaseの機能に関しては、依然として未解決なままである。私はPPIaseのこの活性に注目し、FKBP12をモデルとして2年前からPPIaseが酵素活性を発現するために必要な条件を解析してきた。その結果、活性部位の主鎖構造が適当な配置をとりさえすれば、側鎖の種類にかかわらずPPIase活性が発現することが示唆された。 次に、この結果を別の面から検証するために、FKBP12の活性部位と同様な主鎖配置を持つ非PPIase蛋白質がPPIase活性を示すかどうか調べることにした。まず、そのための検索条件を決定し、それを用いてPDBデータベース中の全エントリーからFKBP12の活性部位に類似した立体構造を持つ蛋白質を全て抽出した。検索条件の満足度に応じてスコアを定義すると、上位スコアを持っものにはFKBPファミリーに属する蛋白質が並び、中位スコアを持つものにはPPIaseのシクロフィリンファミリーやパルブミンファミリーに属する蛋白質が並んだ。また、上位スコアから中位スコアまでには、PPIase以外の蛋白質も数多く含まれていた。そこで、それらの中から、入手が容易なプロリルエンドペプチダーゼを選び、PPIase活性の有無を調べる実験を行った。その結果、この蛋白質は野生型FKBP12の20%の比活性を有することがわかった。このことは、活性部位の主鎖構造のみがPPIase活性の発現に必要であることを示す一例となっている。なお、データベース検索において東大・医科学研究所の木下賢吾博士からご協力をいただいた。(論文投稿準備中)
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