2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18031013
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (30332662)
|
Keywords | タンパク質 / フォールディング / 中間体 / NMR / スピンラベル / キメラ |
Research Abstract |
本研究では、超好熱菌のPyrrolidone carboxyl peptidase(PCP)のCysフリー変異体(PCP-OSH)について、フォールディング初期に蓄積する中間体の立体構造を核磁気共鳴(NMR)法によって研究する。また、超好熱菌PCPと中温菌PCPのキメラ蛋白質を作製し、スローフォールディングの原因となっている構造を明らかにする。本年度は以下の研究成果を得た。 1.スピンラベル法によるフォールディング初期中間体の研究:超好熱菌PCP-OSHの分子表面にシステイン残基を導入し常磁性のnitroxide基を共有結合させた。具体的には、PCP-OSHのR21C、K54C、K122C、H152C、E172C変異体を作製し、それぞれのシステイン側鎖にproxyl-MTS[(1-Oxyl-2,2,5,5-tetramethyl pyrrolidin-3-y1)methyl methanethiosulfonate]を反応させることでnitroxide基を導入した。Nitroxide基によるHSQCシグナルのブロードニングを観測したところ、PCP-OSHの中間体では、N末端半分とC末端半分でほとんど長距離相互作用が存在せず、それぞれが独立していることが明らかになった。 2.超好熱菌PCPと中温菌PCPのキメラ蛋白質:中温菌Bacillus amyloliquefacients由来PCPは、超好熱菌PCPよりもフォールディングが速いことがわかっている。超好熱菌PCPと中温菌PCPの立体構造を比較すると、超好熱菌PCPではC末端構造にαヘリックス構造が多いが、中温菌PCPではαヘリックスが一部ループ構造となつている。そこで、C末端構造の違いが超好熱菌PCPのスローフォールディングの原因になっている可能性が高いと推測し、キメラ蛋白質を作製した。キメラ蛋白質は、1-173残基が超好熱菌由来PCP-OSHであり、174-213残基が中温菌PCP-OSHのアミノ酸配列となるように設計した。キメラ蛋白質を発現・精製しCDスペクトルによつて立体構造を調べると、pH7.0の条件ではキメラ蛋白質は超好熱菌PCP-SHと変化なかったが、pH2.0において立体構造が大きく不安定化されていた。したがって、超好熱菌PCPの高い安定性はC末端の構造に由来するものと考えられた。
|