2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18031013
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 University of Toyama, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (30332662)
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Keywords | タンパク質 / フォールディング / 中間体 / NMR / キメラタンパク質 |
Research Abstract |
超好熱菌PCPと中温菌PCPのキメラタンパク質を作製し安定性やアンフォールディング速度について調べた。超好熱菌PCPと中温菌PCPの立体構造を比較すると、超好熱菌PCPのC末端領域にはαヘリックスが2本(α5とα6)あるが、中温菌PCPではヘリックスの一部がループ構造になっている。そこで、超好熱菌PCPの異常に遅いアンフォールディングはC末端構造の違いによると予想し、数種類のキメラタンパク質を作製し実験を行った。超好熱菌PCPの174-208残基を中温菌PCPにしたキメラでは大きく不安定化したが、174-183残基だけを中温菌PCPに変えたキメラでは不安定化の程度はかなり小さかった。また、174-208残基を中温菌PCPにしたキメラではアンフォールディング速度が著しく増加した。したがって、超好熱菌PCPの高い熱安定性と異常に遅いアンフォールディングはC末端に位置する174-208残基の構造によることが明らかになった。 また、超好熱菌PCPのC末端半分に相当する113-208残基のフラグメントPCP(113-208)を作製し、NMRによってその特徴を調べた。その結果、PCP(113-208)はマイクロ〜ミリ秒で運動しておりコンフォメーション交換の状態にあることがわかった。次に、さまざまな濃度の尿素存在下でPCP(113-208)の^1H-^<15>N HSQCを測定し変性過程について調べた。スペクトル上で分離していた複数のピークについて強度と^<15>Nケミカルシフトをプロットしたところ、PCP(113-208)の尿素変性は非協同的で徐々に起こることが示された。以上の結果から、超好熱菌PCPのフォールディングでは、フォールディング初期にC末端半分だけがモルテングロビュール様の構造をもつ中間体(D1状態)となり、その中間体は非協同的な相互作用によって安定化されていることがわかった。
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