2006 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド性蛋白質のコンフォメーション変移とその伝播性の解明
Project/Area Number |
18031024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 義隆 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60335354)
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Keywords | 蛋白質 / 高分子構造・物性 / 神経科学 / 脳神経疾患 / 伝播性 / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / アミロイド |
Research Abstract |
アルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病、ポリグルタミン(PolyQ)病などの神経変性疾患では異常蛋白質が構造異常により凝集し、神経細胞内外に蓄積することが知られており、コンフォメーション病/フォールディング病と呼ばれている。このうちPolyQ病は原因蛋白質内のPolyQ鎖の異常伸長により発症する遺伝性神経変性疾患であり、異常伸長PolyQ鎖自身が異常コンフォメーション変移を獲得し、その結果難溶性のアミロイド様線維状凝集体を形成して、最終的に発症に至ると考えられている。本研究では、異常伸長PolyQ蛋白質が凝集体形成に至る過程での構造変化を解明し、毒性構造体を特定することを目的とし、モデル蛋白質Thioredoxin-PolyQ融合蛋白質(Thio-PolyQ)の構造解析を行い、以下の成果を得た。 1.凝集体形成濁度測定、円偏光二色性分散測定の結果、異常伸長PolyQ鎖を持つThio-PolyQは溶液状態で経時的にαヘリックスからβシートへのコンフォメーション変移を認め、それに伴って凝集体を形成した。Native-PAGE、超遠心分析、ゲルろ過クロマトグラフィーの結果からこの可溶性βシート中間体はモノマーであると考えられた。一方、電子・原子間力顕微鏡観察からThio-PolyQ凝集体はアミロイド様細線維状構造を持つことが明らかになった。 2.異常伸長Thio-PolyQ蛋白質の様々な構造体を培養細胞へマイクロインジェクションした結果、アミロイド線維のみならず可溶性βシートモノマーも細胞毒性を発揮することを見出した。 3.異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1(SNWKWWPGIFD)はThio-PolyQのβシートへの毒性コンフォメーション変移を阻害して、アミロイド線維形成・神経変性を抑制することを明らかにした。 以上の結果から、異常伸長PolyQ蛋白質はβシートへの異常コンフォメーション変移を経て細胞毒性を獲得し、その結果アミロイド線維状凝集体を形成すると考えられた。そしてβシート構造への毒性コンフォメーション変移を阻害することが治療標的として重要であると結論した。
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Research Products
(5 results)