2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18031026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田村 厚夫 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (90273797)
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Keywords | 生体材料 / 生物・生体工学 / 生物物理 / ナノ材料 / ナノバイオ |
Research Abstract |
αヘリックス型ペプチドに人工設計した7残基のアミノ酸を付加することでβシート型構造に変換することを目指した結果、両構造が共存した状態を実現した。NMR法を適用して解析したところ、αヘリックス型とβシート型がおよそ1/3ずつ存在している状態であることがわかった。このような一種の"chameleon"的な共存状態を小型のペプチドで実現したのは初めてのことと思われる。さらに、意外なことに、β構造の出現に際して、αヘリックスの存在量は、7残基のアミノ酸を付加する前とくらべて増加した。つまり、一つの構造の安定化は、他方の構造の不安定化にはつながらないことを示したものである。この結果が示すこととしては、以下の2点である。1)デザインのルールとしては、新たな二次構造を形成させるためには、その部分(断片)は単独では構造をとらない配列である必要がある。2)天然タンパク質の構造構築原理としては、non-localな三次相互作用によってその構造が安定化されている場合、その部分は断片化した場合は単独で構造をとってはならない。 一方、アミロイド線維は、βシート型の水素結合を分子間で形成することが知られている。この相互作用を生かし、されに精緻な空間や相互作用のデザインを行うために、ペプチド自体を環状化し、理想的なサイズを持ったナノチューブを形成させるよう設計を行った。この際、チューブの内側に、金属イオンと相互作用して結合するようなアミノ酸を配置した。この結果、選択的に銅イオンのみ結合するペプチドナノチューブの形成に成功した。
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