2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工設計ペプチドを用いたへリックス構造モチーフの設計原理に関する高圧分光研究
Project/Area Number |
18031039
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
加藤 稔 立命館大学, 理工学部, 教授 (00241258)
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Keywords | ペプチド / 赤外分光法 / 圧力効果 / 分子構造設計 / 蛋白質 / ヘリックス / ヘリックス-コイル転移 |
Research Abstract |
1.ヘリックス形成能の高いAK型ペプチドは、一本鎖ヘリックスのモデルとしてよく用いられている。本研究ではAK20:Ac-AA(AAKAA)_4AAY-NH_2のヘリックス-コイル転移を対象とした。赤外のアミドIの強度から決定したヘリックス含量は、CDの結果とよく一致した。これらヘリックス含量の温度依存性をZimm-Braggモデルを適用して解析した。得られたエンタルピー変化は、熱測定(文献値)とよく一致した。また、加圧によりヘリックスが増加することも明らかになった。ヘリックスからコイルへの構造変化に伴う体積変化は、13.5cm^3/molであった。これは、PaschekらのMDシミュレーションの結果(-2.3cm^3/ml)と大きく異なる。一般に蛋白質は圧力変性を起こすが、すなわちアンフォールド構造はフォールド構造と比べ体積が小さいが、今回の結果はそれとは異なった。 2.AKペプチドと蛋白質の圧力応答の違いの原因として、まず考えられるのは、AKペプチドは3次構造を持たないことであろう。そこで、典型的な3次構造要素を持つコイルドコイルに着目した。コイルドコイルのモデルとしてGCN4-P1を研究対象とした。GCN4-P1のアミドIモード領域の赤外スペクトルは、buried helix(1633cm^<-1>)とsolvated helix(1650cm^<-1>)のピークを与えた。高圧下(800MPaまで)ではこれらのピーク強度はいずれも増加した。これも蛋白質の圧力変性とは異なる挙動であり、圧力変性の要因に3次構造の必要性を確認することはできなかった。 3.高次の構造での圧力効果を確かめる目的で、ヘリックス・バンドルに注目した。対象にした(α-1-α)_2は、ヘリックス-ループ-ヘリックスの2本鎖ヘリックスが2量体を形成したヘリックスバンドルである。アミドIモード領域の赤外スペクトルは、GCN4-P1と類似したピークを与えた。加圧に伴いsolvated helixのピークが増加し、buried helixが減少した。しかしながら、1GPaを超える高圧力下においてもアンフォールドには至らなかった。
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Research Products
(1 results)