2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18031043
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
油谷 克英 独立行政法人理化学研究所, 構造解析高度化研究チーム, 上級研究員 (90089889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤野 雅英 独立行政法人理化学研究所, 構造解析高度化研究チーム, リサーチアソシエイト (10415177)
瀬川 新一 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70103132)
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Keywords | フォールディングの律速 / 蛋白質のフォールディング / 蛋白質の安定性 / ピロリドンカルボキシペプチダーセ / NMR / リアルタイム観察 / 超好熱菌 / アミノ酸置換 |
Research Abstract |
超好熱菌由来のピロリドンカルボキシペプチダーゼ(PCP)のrefolding速度の異常に遅い反応特性を利用して、refoldingの過程で起こる構造変化をNMRでリアルタイムに観察したところ、この異常に遅いrefolding反応は、天然(N)状態と変性(D)状態間に非常に高い協同性をもつ2状態変性であることが分かった。このD状態は、蛋白質が生理的条件下で、Nと平衡にあるD状態の構造を指し、水中におけるfoldingの初期構造である。その初期構造を実質的に静止させる条件を見いだしているので、生理的条件で平衡にあるD状態の構造が解明できる。本研究課題では、このD状態のどのような構造的因子が鍵となって高い協同性を保証しているかを明らかにするとともに、その遅いfoldingの律速(rate-limiting)となっている構造因子を明らかにすることが本研究の目的である。PCPの天然構造からfolding反応を遅らせると考えられる構造要因として、(1)一つのシス型プロリン(Pro159)の存在と、(2)分子内部の完全な疎水性環境に埋もれている荷電残基Glu192がある。Pro195とGlu192の一連の変異型を作成し、変異による構造変化、安定性変化、refolding速度の変化を調べたが、いずれも野生型よりもrefolding速度を早める結果にはいたらなかった。しかし、Glu192の一連の変異型の構造と安定性の測定結果から、分子内部に埋もれていてイオン結合もしていないGlu192は水素結合を形成して分子の安定化に重要な役割をしていることが分かった。一方、私達が発見した史上最高の熱安定性を持つ超好熱菌由来のCutA1タンパク質の変性の復元反応が異常に遅いことを見いだしたので、今後は、このタンパク質も加えてフォールディングの律速のメカニズム解明に役立てたいと思う。
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Research Products
(5 results)