2006 Fiscal Year Annual Research Report
天然有機化合物を基軸とした難治性疾患治療薬シーズのデザインと活性評価
Project/Area Number |
18032006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生方 信 北海道大学, 大学院農学研究院, 教授 (60168739)
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Keywords | 3T3-L1細胞 / 分化誘導促進 / 6-tuliposide B / Baylis-Hillman反応 |
Research Abstract |
(1)昨年に引き続き、前駆脂肪細胞3T3-L1の分化度評価法の検討を行った。3T3-L1細胞を用いた脂肪細胞の分化調節剤のスクリーニングには、Oil red Oで油滴染色をおこなった細胞の顕微鏡による形態観察、分化マーカーとしてPPARγ発現量の定量など、いくつかの方法が知られているが、簡便かつ定量的なスクリーニング系は、これまで確立されていなかった。そこで、まず以下のような3T3-L1前駆脂肪細胞の培養法の改善を行った。培養日数、血清の検討、collagen Iとpoly-L-lysineによるプレートのコーティングを検討した。その結果、3T3-L1細胞の安定した分化誘導が可能になった。次に、従来法に加えてトリグリセライド-Eテストによる中性脂肪の定量、PicoGreen ds DNA Quantitation ReagentによるDNAの定量方法を確立し、より正確なスクリーニングを行うことが可能になった。(2)上記スクリーニング系を用いて、ヒメマツタケ抽出物の活性評価を行った。この抽出物を分化誘導刺激時以降の培地に添加したところ、分化誘導促進活性が見られた。現在、活性成分の単離構造決定を進めている。(3)我々は、チューリップの葯に特異的に蓄積される抗菌成分が6-tuliposideBである事を見出している。この成分はある種の薬剤耐性菌にも効果があり、類縁体の中で唯一チューリップフィンガーと呼ばれる皮膚への接触刺激活性を持たない事から、全合成研究を計画した。Baylis-Hillman反応を用いた簡便合成により、tulipalin B並びに1-0-methyl-6-tuliposide Bの合成に成功した。現在、不斉Baylis-Hillman反応と6-tuliposide Bの合成を検討中である。
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